さん弥の「雪てん」2014/12/27 06:39

 寒い日だった25日はクリスマスなのに、第558回の落語研究会だった。

「雪てん」     柳家 さん弥

「朝友」      柳家 三之助

「芝浜」      瀧川 鯉昇

      仲入

「不孝者」     三遊亭 金時

「初天神」     柳家 小三治

 さん弥は、さん喬の六番弟子で、落語研究会に出たことはないが、前に柳亭 左龍が話していた、普段は汗水たらして、よく働くのだが、「世間では普通に仕 事ができない人」で、お焼香の時、「アッチッチ!アッチッチ!」、火がついて いるほうにさわった、と。 禿げ頭に顎鬚、3月下席に真打昇進するという。  苦節15年、両親に知らせると、父親はねぎらいの言葉一つなく、あっそう、「笑 点」は何時出んの? いいです、心内(しんうち)傷心というぐらいですから。

 横丁の隠居というけれど、マンションの13階の隠居とは言わない。 横丁 の凸凹のところへ行って、無駄っ話でもしようかと来ました、と八五郎。 粗 茶は卑下した言葉だと聞いて、これで髭剃(す)ったんすか。 みんな隠居は ○○○○じゃねえかって言ってる。 はっきり言え。 ドロボウ。 わっしは 言ってやったんです、三年前はともかくとして、今は更生して…。 以前は身 を粉にして働いた、娘に婿を取って今は楽隠居だ。 娘さんですか、いくつで?  今年46になる。 なんだ娘じゃなくて、ババァじゃないか。 そんなことを 言ったら、今日の客席はみんな…。

 今は道楽がある、ハイカイだ。 もう、来たんですか。 俳句だ。 あれで すか、<初雪やとんび転んで河童の屁>って、いう。 運座というな。 床屋 の亭主もやるんですよ、くだらない、男同士集まって、嬉しそうなことをして。  心を素直に詠めばいい。 <朝起きて顔を洗って飯を食う>。 季語、季題が ないな。 池に、蛙が飛び込んだってのが、ありましたね。 <古池や蛙飛び 込む水の音>、バショウだな。 金原亭? 松尾だ。 蚊帳で、起きて見るっ てのは? <起きて見つ寝て見つ蚊帳の広さかな>加賀の千代、夏の句だな。  長屋は寒いから、冬になると蚊帳を出すんです。 <蜻蛉釣り今日はどこまで 行ったやら>も、加賀の千代の句。 ひる、ひる、鶴瓶とかいうのは? <朝 顔に釣瓶取られて貰い水>これも加賀の千代だな。

「初雪や」とやったら、情景を詠まなければならない。 <初雪やほうぼう の屋根が白くなる>。 色を付けなければ駄目だ、例えば<初雪や京の茶殻の 捨て所>とかな。 <初雪や一番目立つインド人>。 情緒を持った色でなけ ればいけない。 <初雪や小便するたび氷レモン>。 景色を詠んでみろ。 <初雪やキリンの首のもぐるまで>、<初雪や象の足跡クリームパン>、<初 雪やこれが塩なら金儲け>、<初雪やこれが砂糖なら金儲け>、<初雪やこれ が片栗粉なら金儲け>、<初雪やこれがカクセイ……>。 よしなさい、時と 場所を考えろ、<山王の猫の子の この子の猫の この猫の 仔猫この猫 こ の子猫猫>。 山王のネコノネコノネコネコ。 お前、ニッポン人か。

ごめんください。 江戸屋から参りました、宗匠に句を見ていただきたい。  私は宗匠とか言われていてな、点数を付けるんだ。 獣(けもの)詠み込みの 狂歌だ。 <猫の子を秤にかけてもらいしが昼と夜では値が違うかな>、これ では天はむずかしいな。 <狐をばやかんというは茂林寺の分福茶釜狸なりけ り>、天はむずかしい。 <狩人が鉄砲置いて月を見ん今宵はしか(鹿)と隈 (熊)もなければ>、出来ました、これはいい。 それならと側で八五郎、 <初雪や五尺余りの大イタチこの行末は何になるらん>。 隠居は、これなら 天(貂)になる、と。

コメント

_ 耕作 ― 2016/01/02 18:07

私が昔聞いた談志のヴァージョンに近いと感じました。
雑俳と言うのは今で言う川柳だから季語は必要ないのでしょうか?記事を読むとご隠居は季語が必要と言っているように思えましたが。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
「等々力」を漢字一字で書いて下さい?

コメント:

トラックバック