「歌留多」と「寒の内」の句会2015/01/10 06:37

 8日は「夏潮」渋谷句会だった。 兼題は「歌留多」と「寒の内」、私はつぎ の七句を出した。

子供にも取らす札あり歌かるた

煌めきを見せる娘や歌留多会

ちぎりきなついお手つきの歌かるた

手が触れて嬉し恥づかし歌かるた

理由つけ散歩をさぼる寒の内

家出れば洟垂れてくる寒の内

北風に向ひて涙寒の内

 私が選句したのは、つぎの七句。

歌留多の夜中途で帰りたる娘        英

幼ナ児に負けてめでたきカルタとり     和子

晴れ晴れと祖母の読み上げうた歌留多    真智子

首だけの会釈で済ます寒の内        耕一

喪のひと日\/行かしめ寒の内       なな

部屋中のもの動かざる寒の内        荘吉

世田谷に船の汽笛や寒の内         真智子

 私の結果。 <子供にも取らす札あり歌かるた>を英主宰・さえさん・耕一 さん、<ちぎりきなついお手つきの歌かるた>をひろしさん、<北風に向ひて 涙寒の内>を真智子さん・さえさんが、採ってくれた。 主宰選1句、互選5 票の計6票、新年初句会も「ちょぼちょぼ」で、「去年今年貫くちょぼちょぼ 俳句道」となったのであった。

 <子供にも取らす札あり歌かるた>の主宰選評。 歌留多取り、自分の子供 の頃とくらべて、近年は流行らぬものよ、の感がある。 この文化を、大人と して、子供に伝えていないのだ。 この句のように、子供の取れる札を、大人 が待っていてくれたものだ。 それは大人の余裕で、暗黙の了解のもとに、子 供を育てていた。

 主宰は、慶應志木高の国語授業で生徒に「歌留多取り」させたらしく、<新 らしき札の硬さや歌かるた 裕子>の評で、激しい取り合いから、血の滲んだ 札もあったという話をなさっていた。 その生徒たちは今、子供たちに「歌留 多取り」を伝えているだろうか。