スーパービッグバンド・渡辺貞夫82歳の言葉2015/02/10 06:35

 渡辺貞夫さんは昨2014年、17年前のツアー仲間と、17人のビッグバンドで 全国6か所を回った。 その最終日、12月17日オーチャード・ホールのコン サートを、BSプレミアムは同じ1月25日の夜、「渡辺貞夫スーパービッグバ ンド~81歳 音楽と走り続ける~」で放送した。

 渡辺貞夫さんのアルトサックスのほか、みんな「ビッグネームになっていて、 声がかけづらい」というサックスが吉田治ら5人、トロンボーンとトランペッ トが村田陽一と西村浩二ら各4人の日本のプレイヤー、ピアノをラッセル・フ ェランテ、ベースがエドウィン・リヴィングストン、ドラムスはピーター・ア ースキンという構成だ。 30年来の付き合いというラッセル・フェランテを始 め、みんな実に楽しそうに演奏していて、素晴らしい音を出していた。

 このオーケストラのテーマ曲ともいうべき、渡辺貞夫さんの友人、ゲーリー・ マクファーランドの作品KITCHに始まり、TOKYO DATING、アフリカの印 象から生まれたHIP WALK、優しい曲EARLY SPRING、スワヒリ語で「散歩」 TEMBEA、ジャズピアノの巨人セロニアス・モンクの代表曲をゲーリー・マク ファーランドが編曲したBLUE MONK、EPISODE、ROUND TRIP、AIRY、 ポルトガル語で「共感」SINPA(Ā)TICO、NOT QUITE A SAMBAと続き、ラ ストはご自身の人生を奏でるMY DEAR LIFE。 そしてアンコールは ORANGE EXPRESSだった。

 若い時から、練習には人一倍時間をかける。 コンサート当日も、本番前、 一人で楽器に向き合う。 サックスのリード(reed吹き口の薄片状の発音体) も80枚ほど用意して、最高の1枚を探す。 渡辺さんは言う。 楽に鳴るよ うなのは、あまり面白くないですからね。 全部違う、千差万別というか、ま あ、気立てが良くて、手強いのを選んでいるというか…。 ハハハハハ、あの ー、結構派手なねえ、美人とかそういうのもあるんだけど。 控え目なやつで、 ちゃんと鳴るやつを選ぶ。 ウハハハハ、大体こんなんで一日終っちゃう時が、 よくあるんですけど。

 渡辺貞夫さんは言う。 各人が何かクリエイトしてほしい。 そんな生き方 をしてますけどね。 有難いことに、好きなことやって、今日まで来たってこ とですよ。 それしかないんじゃないでしょうか。 やはりパワーとか、そう いうものは負けたくないですからね。 かえって若い頃より今の方が、しっか りいい音してると、思うんです。 けど、やっぱり年食った分だけプレイ(演 奏)とか音楽を含めて、自分の事が見えて来ますから…、来ましたから…。 と 言って、楽な条件で仕事したくないんですよね。 ですから、若い頃より今の 方が、しんどい条件で音を出していますけど…。

 ぼやぼや、よたよたと老人ぶっている閑居日記小人、渡辺貞夫さんのサック スの音色と笑顔に、背中をどやされた感じがした。