なぜ山形県鶴岡に慶應の先端生命科学研究所か2015/06/23 06:34

 18日は、6月第3金曜日毎年恒例の、慶應三高校新聞部OB・OG会、「ジャ ーミネーターの会」だった。 今年は昭和39・40年女子高卒のOGが幹事で、 会場を東京銀行協会ビルの銀行倶楽部に移し、講師に冨田勝慶應義塾大学先端 生命科学研究所長を迎え、「慶應鶴岡キャンパス15年目の挑戦~メタボローム と人工クモ糸で山形県に一大産業を」というスピーチを聴いた。 山形県鶴岡 は、私の父の故郷で、懐かしさと思い入れがあったので、楽しみにして出かけ た。

 なぜ慶應が山形県鶴岡に研究所をつくったのか、という質問があった。 冨 田勝さんは、土地、建物、運営費、三十五億円の基金と、山形県と鶴岡市半々 での総額百数十億円のdonationがあったからだと答えた。 研究所を誘致し ても、すぐに効果は出ない。 1999年当時の富塚陽一鶴岡市長(2009年10 月まで5期18年務めた)は、次の20年を考えると必要なのは産業で、多くの 自治体は既にあるものを持って来ようとするが、ゼロから産業を立ち上げる気 概が必要だと言った。 いいモノ、いいサービス、いい技術を生み出す知的産 業、その核になる研究所が重要だ。 反対派議員の質問に、次の世代に何を残 すのかが、この研究所だ、何%かの種まきをしなければ、庄内に20年後、30 年後はあるのか、慶應と心中するつもりだ、と感動的な答弁をした。 2001 年研究所が開設され富田さんが所長に任命された時、富塚市長は、地元に貢献 とか、経済効果とか言われるだろうが、そういうのはファンサービスだと思え ばいい、ただ一つ「世界が振り向く研究をして下さい」と言ったそうだ。

 地方創生、地方再生というけれど、「地方」という言葉には格下感があり、地 方に転勤というと「飛ばされた」感じがぬぐえない。 それでは、創生も再生 もしない。 大学の研究室は首都圏に集中している。 欧米の研究所は、アメ リカのボストンやシリコンバレー、イギリスのケンブリッジやオックスフォー ドも、みんな田舎の都市や郊外にある。 鶴岡の先端生命科学研究所は、歩い ても、自転車でも、車でも、10分の距離を通ってくる。 民家を借りると、庭 があって、スローライフを楽しめる。 一粒で、二度美味しい。 春夏秋冬、 春は鶴岡公園に桜が咲き、夏は湯野浜温泉の海に夕日が沈む、秋は庄内平野に 庄内米が実り、冬の雪の中も美しい羽黒山の五重塔はミシュランの東北must visit二つの一つに選ばれた。 2014年12月、鶴岡市はユネスコの食文化創造 都市に認定された(当日記2015.2.17.「「三州屋」と「おいしい山形プラザ」」 参照)。 鶴岡の人は、素材を重視し、旬のものしか食べない。

鶴岡市の人口は13万人で、十分に小さく、十分に大きい。 先端生命科学 研究所は、200人の雇用を生み出した。 被雇用者7万人の0.3%だ。 鶴岡 市の種まきは、想定以上のスピードで実を結びつつある。 日本はコスト競争 ではもはや新興国に勝てない。 生き残るには科学技術を駆使し、高くても売 れる高付加価値のモノやサービスを生むことが鍵になる。 科学技術、新産業 の創出、地方活性化、人財(?)育成、健康長寿を五つの柱に活動を続けたい。

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