事実をきちんと検証して、対外発信すべき2016/06/21 06:17

 渡辺利夫さんは、このような韓国や中国の日本は歴史問題を解決していない、 戦争の歴史を清算していないという主張が、いったんは過去となった問題だっ たにもかかわらず1980年代以降に問題化した。 しかもそれが日本の中から 生まれたメイド・イン・ジャパンの問題だったのに、世界中に流布し、韓国や 中国はそのカードを使って、アメリカの世論に働きかけ、ニューヨーク・タイ ムズやワシントン・ポストなどクオリティ・ペーパーもそれを報道論評してい る、と言う。

 2015年2月アメリカの日本研究者など20人の学者が日本の慰安婦問題につ いて「20世紀の戦時性暴力の中でも特筆すべきものだ」とする抗議声明を出し、 渡辺さん達日本の学者50人がこれに反論した。   渡辺利夫さんは、そのことを説明するため、2015年8月6日に外国人記者 クラブで下記のような説明をしたという。

 一国の歴史をこのように断定して非難の対象とするには、よほど慎重な事実 の検証が必要だ。 私どもは、真実は事実の中にのみ存在する、という価値観 に立つ。 歴史的な資料や証言をあたうる限り集め、それぞれは限定的なもの であっても、これらを精細に検証し、検証された事実を積み上げることによっ てしか真実を明らかにすることは出来ないという「歴史実証主義」の立場に立 つ。 韓国人女性強制連行説を長きにわたって報道してきた日本のジャーナリ ズムの代表である朝日新聞は、検証記事で強制連行説は誤報だったとして、取 り消した。 また米学者の声明は、「戦後の日本の自由と民主主義は祝福に値す るものだ。しかし、真の祝福を妨げているものがあって、これは日本の「歴史 解釈の問題だ」としたが、広島の原爆や東京大空襲はまぎれもない検証済みの 事実だ。 しかし、この事実に対する日米両国民の歴史解釈は異なる。 事実 を検証した上での歴史解釈の相違には、私どもは寛容であるべきと考える。 検 証されてもいない歴史的事象について、自分の解釈に従えというのなら、国家 関係はなりたたない。

 渡辺利夫さんのこの反論についての、報道はなかったそうだ。 米紙の安倍 首相に対する評価はrevisionist(修正主義者)というものだが、これは途方も ないネガティブなイメージなのだそうだ。 アメリカのカリフォルニア州で使 われている高校の歴史教科書(マグロウヒル社)のコラムに、「20万人の若い 女性が強制徴用され、彼女らは天皇からの贈り物として兵士に供された。戦後 は証拠隠滅のために殺害された」等と書かれているそうだ。 慰安婦問題は、 国連にも影響している。 日本は、なぜ黙っているのか。 渡辺さんたちは、 英文にして抗議反論の対外発信を続けているという。 日本政府の公的な部門 が、きちんとしたキャンペーンをやるべきだと、渡辺さんは語った。