柳家花ん謝の「権助提灯」2016/07/04 06:28

 6月30日は第576回落語研究会、これからの三か月は、例会が二週間おき にやってくる日程だ。

「権助提灯」      柳家 花ん謝

「甲府い」       古今亭 文菊

「船徳」        桃月庵 白酒

      仲入

「日和違い」      瀧川 鯉昇

「髪結新三(下)」   柳家 小満ん

 花ん謝は柳家花緑の弟子、2007年に緑太から花ん謝になった二ッ目。 兄弟 子の台所おさんが真打。 小豆色の着物に黒紋付の羽織で、出囃子がとんこ節。  地方のある場所で演ったのだが、一時間、反応なし。 仕方がないので、小咄 をやった。 天国はどんな所かな? あのよう。 その会がしめやかに終わり、 お客様をお見送りしていると、一人のおばあちゃんが寄って来て、今日は、よ かったねえ、と。 どのへんが? もうちょっとで、笑いそうになったよ。 我 慢大会じゃない。

 横浜の足袋や巾着などを売っている小物屋で、肌襦袢が五百円だった。 五 枚買っても二千五百円、安いんで五枚買った。 楽屋で下ろしたてを着ようと したら、ペラペラ、ビニールのような、ガーゼのような。 まるでサランラッ プを巻いたようで、汗を吸わない。 五枚いっぺんに着て、一枚みたいな。

 二ッ目が100人いるけれど、ざっくり二つに分けられる。 地方出身と、東 京出身。 地方から出てくると、家賃が月に十万、一年に百万はかかる。 二 ッ目を10年やると一千万円。 東京出身は実家にいるから家賃がゼロ、一千 万円の差だ。 東京で生まれ育った芸人を応援しないで頂きたい。 日々無駄 を省いて生活しているから、五百円の肌襦袢を買うはめになる。 第三者の弁 護士に、厳しく検証をしてもらいたい。

 そろそろ休もうか、と大店の旦那。 風が強いんで、今晩はアノコのところ で、お休みになったら、婆やと二人で不用心だから、ぜひぜひとおかみさん。  みんな寝ているので仕方なく、権助に提灯の支度をさせる。 これから、どこ へ? 横丁の、あいつの所。 あの妾ん所か。 大きな声を出すな。 年はと ったが、お盛んだんべ、祭の提灯でワッショイワッショイ、メカケー、メカケ ーと行くか。 だから権助は嫌だって言ったんだ。

 ドンドン、月々、ゼニ持って来る旦那が来たぞー、開けろーッ。 奥様にそ う言って頂いて、身に余る果報です。 でも奥様に甘えては、物のわからぬ女 になります。 今晩は、帰って下さい。 家へ戻ることにしよう。 お前様、 妾の家にも入れてもらえないんだ。

 無駄足で帰って来ただ、トシマーッ、トシマーッ、開けてくれ! 今晩は家 で休もうと思ってな。 ちょっとお待ち下さい、一度お出ししたんですから、 今晩はあちらで。 家にも入れてもらえない、ハハハ、オラと抱き合って、ノ ズク(野宿)するか。

 また、来たぞ。 ウチのも強情だ。 今晩は、お入れできません。 私にも 女の意地があります。 ん、ん、ん、だから、やっぱり戻ろうかな。 提灯、 消さねえで、待っていたよ。 無駄なことをするな。 女一人で済むところを、 もう一人おいておく、これを無駄と言う。

 開けろ、旦那のお戻りだ。 お入れできません、今晩はあちらで。 何が何 だか、わからなくなってきた。 権助、提灯に火を入れろ。 提灯には及ばな い、もう夜が明けただ。