喬太郎の小泉八雲原作「雉子政談」前半2016/07/21 06:29

 喬太郎は薄い青緑の袴。 ウルトラマン放送開始50年、ウルトラマンは僕 らの胸に生きている、それを支えに噺をしたい、と。 噺家は仕事がなくても、 ダラダラ送れる商売。 用があるな、と思ったら、パチンコだった。 でも不 思議に仕事が重なることがあり、代演に行くことがあったりする。 多少は幾 らかになる。 この後、末広亭の代演、たい平のトリ。 落語研究会は、やっ つけ仕事で…(苦笑)、がんばりたい。

 お笑いでない噺もある。 里山の百姓、亭主は畑仕事をし、女房は機を織っ て、穏やかな年月を暮している。 ある晩、女房がぐっすり寝込んでいると…。  やい、お光。 何ですね、お父っつあんじゃございませんか。 三年ぶり、元 気ですか。 死んでるからな、元気ってことはない。 何で、化けて出たんで す? 夢ん中だ、お前さんに頼みがある。 私は、近々、恐ろしい目に遭う。  その時、助けてくれ。 頼んだよ、お光。

 あんた、そういう夢を見たんですよ。 実の倅の方に、出ればいいのにな。  親父は昔から助平だったからな、嫁の夢に出たのかな。 気にしていて下さい。

 お光が機を織っていると、遠くからケーーンと、雉子の鳴く声がした。 バ サッバサッと、家の中に入ってくると、くるっと回って、お光の前で、ケーー ン、キャーーン。 右の目がつぶれているね、お父っつあんだ。 キャッ。 お 父っつあんじゃないの。 キュッ、キュッ、キュッ、キュッ。

 茂十の家に入ったようだぞ。 お光は、雉子を空の米櫃の中に隠す。 ちょ っくらご免、雉子を撃とうと思ってな、雉子、入ってこなかったけ。 入って きませんでしたよ。 ネコババしてはなんねえ、家探しさせてもらう、とみん なで探す。 米櫃の中は、探さない。 お光さん、すまねえことをしたな。 み んな、行くべえ。 あそこにおったぞ。 なんだ、味噌を付けた馬だ。 放送 をしたら、びっくりするぞ。

 夕暮れ、亭主が帰って来る。 本当にお父っつあんが来た。 米櫃から雉子 を出す。 確かに右の目がつぶれている。 お父っつあんか? キュッ、キュ ッ、キュッ。 親父だな。 村の衆に追われて、撃たれちゃうところだった。  こっちに貸してくれ。 お父っつあんかい、久しいな。 親父の心が、わかる 気がする。 よかったな、生き延びて。 野に放てば、猟師に撃たれるか。 せ っかく、雉子になったんなら、倅夫婦に食われたいか。 首を絞める。 キュ!

 お光、ごっつおうだぜ。 何をするんです、お父っつあんですよ、恐ろしい 目に遭うって、このことなんですね。 雉子だ、雉子だ、つまんねえことで、 くよくよするな。