喬太郎の小泉八雲原作「雉子政談」後半2016/07/22 06:18

 お前さんが、恐いよ。 親を殺した。 お光は、土地の地頭の所へ駆け込む。  地頭は人間味のある方で、お前の亭主がそんなことをしたのかと、家来をやっ て、亭主は後ろ手に縛られる。

 三日留められて、お白洲へ。 茂十、顔を上げろ。 親殺しの罪だ。 雉子 です。 女房が舅の夢を見て、夢の通りに現れた。 その女房の前で、首を絞 めた。 かようなことができるのはな、近郷近在で、家々に忍び込み、金品を 奪い、女子供まで殺す、霞の清兵衛は、そなたじゃあないのか。 何をおっし ゃっているのか。 翌日、白洲へ出さなかったのは、手下の一匹でも捕まえら れればと、思ったからだ。 一匹捕まえたら、簡単に吐きおった。

 家々に忍び込み、金品を奪い、女子供まで殺す、霞の清兵衛、観念せんか。  あらわれちゃあしょうがない、締りもしないで、寝ている奴が悪いんだ。 即 刻、打ち首だ。 上等だよ、お光がつまらねえことで、駆け込みやがって。 後々 まで、祟ってやる。 ここにいる奴、全部、七生の後までも。 恨み、つらみ だ、首になっても、動いて見せるは…。 そんなことが、できるのか。 やっ てやる。 生首になって、飛び石に食いついてやる。 俺に出来ねえことはな い、やってやる。 後々まで、祟ってやる。 ソレッ、打ち首。

 ワーーーッ! ヒャーーッ! 大丈夫だ、心配するな、これで終わりじゃ。  しかし、動きました。 それだけを念じて、死んだ。 全て果たして死んだか ら、成仏することだろう。 心配するな。

 これ、お光。 お裁き、有難うございます。 そちには、よき亭主を持たせ てやろう。 せめて形見を、最期の着物、私の縫ったものでございます。 あ の着物、悪いことばかりじゃなかったので…。 そちはキジを大事にするのう。

(この噺、小泉八雲作『雉子のはなし』と『かけひき』を編集したものだそう だ。)