「ネグンドカエデ」とバット材「トネリコ」「アオダモ」 ― 2016/08/01 06:23
家の近くの、駅まで行くのに通る道に、文化住宅風とでもいうのか古い平屋 の洋館があって、その庭の道沿いに、葉っぱの縁に白い斑の入った植木がある。 独特の姿なので、何という名前の木なのか、以前から気になっていた。 先日 たまたま、植木屋さんが入って刈り込んでいたので、思い切って木の名前を尋 ねた。 快く「ネグンドカエデ、楓の一種です」と教えてくれた。
「ネグンド」とは何だろう、聞き間違えではないだろうかと、帰ってからネ ットで検索する。 「ネグンドカエデ」、北アメリカ、ニュージーランド原産の 落葉性中・高木(3~10m)で、明治初期に日本に渡来し、寒冷地向きという ことで、北海道では街路樹に使われているという。 学名はAcer negundo、 Acerは「裂ける」という意味のラテン語から、negundoはサンスクリット由来 で「3ないし5の数」という意味だそうだ。 別名は、西洋カエデ、トネリコ バノカエデ。 北アメリカでは、カナダの中西部からアメリカの東部にかけて、 大西洋岸に分布している。 樹液は、メイプルシロップやメイプルシュガーと して利用されるそうだ。 雌雄異株で4月頃に花を咲かせるが、花弁のない花 であまり鑑賞価値はない。 見どころは、何といっても新緑の由。 いろいろ な品種があり、問題の葉の縁に白い斑の入っているものは「フラミンゴ」とい う品種とわかった。 黄金葉で、新緑の頃には目の覚めるようなライムグリー ンになる「ケリーズゴールド」、葉の縁にクリーム色の斑が入る「バリエガータ」 という品種もある。
標準和名のトネリコバノカエデだが、渡来当初、バットの材料に使われるト ネリコの葉に似ていることから「トネリコの葉の楓」という名前が使われたの だという。 トネリコバノカエデを「トリネコバノカエデ」と書いてあるサイ トもあって、確かバットは「トネリコ」の木と記憶していたので、「トネリコ」 と「トリネコ」で検索をしてみる。 「トリネコ」も出るけれど、書き間違い のようだ。 「トネリコ」梣は、キク亜綱-ゴマノハグサ目-モクセイ科の落葉 樹であるトネリコ属中の、日本列島を原産とする1種。 木材としては弾力性 に優れ、バットや建築資材に使われる。 新潟県や富山県では、水田の周囲な どに並木として植えられ、刈り取った稲を乾燥させる「はざ木」として使われ、 田園風景となっていたが、今はほとんど失われた。 和名の由来は、樹皮に付 着しているイボタロウムシが分泌する蝋物質(いぼた蝋)にあり、動きの悪く なった敷居の溝に、この白蝋を塗って滑りを良くしたことから、「戸に塗る木(ト ニヌルキ)」がやがて転訛して「トネリコ」になったと考えられているという。
バットの材料として、プロ野球のオールスターゲームなど大試合前のセレモ ニーで資源確保のために植樹される「アオダモ」も、モクセイ科トネリコ属の 落葉広葉樹である。 日本でのバット材の需要は年間20万本以上あり、半数 は輸入材で国産材のほとんどは「アオダモ」だそうだ。 寒冷地産ほど反発性 と弾力性、耐久性に優れ、北海道産が多いが、計画的な植林・伐採が行われな かったことから、バットに適した高品質の材の確保が困難になり、2000年には 行政、野球関係者、バット生産者が一体となってアオダモ資源育成の会を発足 させ、活動しているのが例のセレモニーにつながっている。
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