常滑焼平型急須でお茶を淹れる2016/09/07 06:12

 日本橋の三越の食器売り場をぶらぶらしていて、押しつぶされたように扁平 で、うずくまっているような、見たことのない急須が並んでいるのが目に入っ た。 本来は日本茶専門店だという、静岡の錦園(にしきえん)石部商店、石 部健太朗さんの催事「日本のおもてなし」だった。 小型で平らな急須は、常 滑焼平型急須。

 平型だとお茶葉が均等にひろがって、お湯とひたひたに触れ、お茶が美味し く出ると聞いて、たちまち興味を持つ。 安いお茶でも、美味しく淹れること ができるそうだ。 見たことがないと言うと、石部さん自身が考えて、窯元に 発注した、これを焼けるのは常滑焼だけ、それも誰と誰だけだと言う。 蓋と の間から、けして湯が洩れないと、水を入れて試して見せる。 収縮を計算し て、少し大きく作って、焼くのだという。

 その急須で淹れたお茶と、ハリオのフィルターインボトルを使った水出しも、 何種か飲ませてもらうと、なるほど美味しい。 もちろん日本茶専門店の茶葉 で(「香駿」など)、インターコンチネンタル東京ベイのニューヨークラウンジ で採用されたという「安倍本山茶」や「錦園選り抜きほうじ茶」もあったのだ が…。

 理屈と、職人の技術が気に入った。 新し物好きが、つい顔を出して、一番 装飾の少ない、値段の安い物を選んだ。 常滑焼、甚秋(じんしゅう)陶苑、 甚秋・伊藤成二作。

 早速、いつも飲んでいるお茶で淹れてみる。 美味しい。 容量が少ないの で、丁寧に二度淹れるせいかもしれないが…。 いろいろ試しているところだ。