志ん八の「臆病源兵衛」2016/10/05 06:21

 9月30日は、第579回の落語研究会だった。 前回が8月4日だったので、 久し振りの感じがした。

「臆病源兵衛」      古今亭 志ん八

「高砂や」        柳家 三三

「茶の湯」        立川 生志

        仲入

「目黒の秋刀魚」     春風亭 一朝

「山崎屋」        柳家 さん喬

 志ん八の出囃子は、証誠寺の狸林、二度目の落語研究会だという。 今日、 志ん五の七回忌というか、偲ぶ会のパーティーがあった。 役者のようなこと もやっていたので寺田農(みのり)さんや、プロ野球にも顔が広く、山本浩二 さんが挨拶した。 山本浩二さんは献杯で、「広島カープ優勝おめでとう、乾杯」 とやって、盛り上がり、明るい会になった。

 電気が発達してから、闇を体験することが出来ない。 暑い時分の疲れが出 て、一杯飲んで夕方まで寝ていた八っつあんが、涼みがてらと兄ィの所に寄る。  一杯やっていた、お前もやんな。 いい酒で。 洗いも酢味噌でやれ。 肴ま でいただいて、すみませんね、兄ィ、いい着物で、薩摩上布ですか。 源兵衛 も同じことをいってたよ。 その源兵衛、暗闇を怖がって、暗くなると外に出 ない。 そのくせ助平で、吉原じゃなく、根津の地獄へよく出かけるらしい、 根津では「昼遊びの源兵衛」と呼ばれているとか。 ご趣向で、これから奴を ここに呼びましょう。 24,5の丸ぽっちゃで色白、一重瞼で目尻がスッと上が っている女が、お前を見初めた、兄ィの遠縁で、一度源兵衛と話がしたいと言 っていると。 台所に隠れていて、おどかし、目を回したところで、それを肴 に一杯飲みましょう。

 源兵衛、いるかい。 開けてくれ。 怖いから開けられない。 これこれし かじかだ。 行きます、でも私を一人にしないで…。 ヴァーッ、真っ暗だ。  引っ張るな、着物が破ける。

 兄ィ、連れて来ました。 怖い、障子が開けっ放しで、仏壇も開けっ放し。  一杯やれ。 源兵衛は、一杯飲んでは、ビクビク左右を見る。 女は? 使い に行ってる。 八五郎が、これから酒を買い足しに行くと言って、台所に隠れ る。 源兵衛、飲んでは、左右を見回す。 台所の一升徳利にまだ五合残って いる、お前見て来い、流しの下だ。

 台所では、八五郎が白い布をかぶって、出た。 源兵衛驚いて、一升徳利で 八五郎の頭をボカン。 大変だ、幽霊を殺しちゃった。 これは八の野郎だ、 お前が殺したんだから、どっかへ捨てて来い。 兄ィは、剃刀で元結を解いて ザンバラ髪にし、三角の紙に「殺」を三つ逆さまに書き、額におまんまっ粒で 貼り付けた。 薩摩上布を着せ、葛籠(つづら)に入れて、お前が殺したんだ から、捨てて来いと、源兵衛に背負わせる。

 不忍池。 仲之町あたりで飲んできた酔っ払いと、出っくわした源兵衛、葛 籠を放り出して逃げる。 おーい、忘れ物だぞ! あいつ泥棒だな。 何が入 っているんだろう。 八五郎は、気を失っていただけだった。 蓋を開けた。  出たーーッ! 酔っ払いは驚いて逃げて行く。

 ここは、どこだ。 (額の三角の紙を手にして…)俺、死んじゃったんだ。  この紙もつけとかなきゃ。 ここは、極楽か、地獄か。 大きな池だな、血の 池地獄だ。 蓮の葉に、花も咲いている、極楽か。 蓮の葉の上に乗って、成 仏しよう。 そこで、何をしておるか! 鬼だ。 根津で遊んで来た二人連れ が通る。 根津は地獄っていうけれど、極楽だったよ、地獄極楽は紙一重だな。

 明るくなって来た。 八五郎は、根津までやって来た。 太鼓、三味線が聞 こえる、きれいなお姐さんがいる。 ここは極楽でしょうか? 地獄の一丁目 だよ。 しなびたおっぱいのお婆さんが庖丁を手に、鶏の首をつかんで、羽根 をバサーーッとやっている。 鬼婆ァだ。 ここは地獄でしょうか。 なあに、 娘のおかげで極楽だよ。

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