入船亭小辰の「のめる」2016/11/04 06:12

 10月28日は、第580回の落語研究会だった。 寒くなってきて、いつもの 天ぷら屋さんでは、ミニ天丼でなく、かき揚げの天茶漬にした。

「のめる」      入船亭 小辰

「附子(ぶす)」    三笑亭 夢丸

「おかめ団子」    橘家 圓太郎

        仲入

「風呂敷」      三遊亭 兼好

「お化け長屋」    柳家 小三治

 小辰は扇辰の弟子、出囃子に唄が入る。 「いっさいいっさいろん」という のだそうだ。 炬燵、そろそろ出す時期なので、名前は言わないけれど、ある 大型家電量販店で探したが、ない。 聞いてみると、炬燵は売れない、炬燵は 流行らない、炬燵はよした方がいい、と。 ビッグカメラ、二度と行かない。

 無くて七癖、有って四十八癖という。 隠居さん。 何だい、八っつあん。  お知恵を拝借したい。 建具屋の半公、知ってますか。 半さん、知ってるよ。  口癖がある、何かと「つまらねえ」と言う。 仲間で楽しく飲んでも、割前取 られたから「つまらねえ」。 お前にもある、「一杯のめる」。 ご存知でしたか。  塩辛があると言えば、「一杯のめる」、おはぎがあると言っても、「一杯のめる」。  この間は、佐藤さんの所でお通夜だと伝えに来たのに、「一杯のめる」、怒って いたよ。

 それで半公と、口癖を言ったら一円ずつ割前を出すことにした。 賭けだな。  あっしは、そそっかしいが、半公はずるがしこいんで、何か、いい知恵を。 半 纏を裏返しにして、腰に荒縄を巻き、手に糠(ぬか)を付けて行く。 田舎の おばさんから、沢庵大根百本送って来て、一斗樽(ひとだる)がないので、醤 油樽に漬けようと思うのだが、どうだろうね、と言うんだ。 おさまらない、 とか言ったら、つまるかい、「つまらねえ」となる。

 八っつあん、頭から糠かぶって、化け物みたいになって、行く。 これこれ だが、一斗樽がない。 おっかあ、出してやんな。 醤油樽につまるかな。 わ ざわざ、それを聞きに来たのか。 どう考えても、つま! へえらねえな。 ギ ューーッとやれば? タガが弾けて、つまるんじゃないか。 つまるよ、「つま らねえな」。 お前が自分で言った、一円出しな。 おっかあ、羽織を出しな、 伊勢屋の旦那が隣町で鰻屋を開業したってんだ、お祝いに行こう。 そりゃあ、 「一杯のめる」。 一円出しな、嘘だ、帰えんな、帰えんな。

 隠居さん、言って来ました。 何だ糠かぶって、そこまでやんなくていい。  あべこべに一円取られた、くやしいよ。 半さん、将棋好きだろう、家で詰将 棋の真似事をしていろ。 教えてやろう、金、銀、桂、香、歩三枚で、王様を 都詰にする、どんなに上手い人がやっても、詰まない。

 八公、湯へ行かねえか、湯銭返してやるから…、何だ詰将棋やってんのか。  王の頭に、金張れ。 今、考えてんだ。 ちょっと待て、面白いな、俺にやら してくれ。 駄目だよ、わかりかけてるんだ。 角が効いてる。 ア、ウン、 ウーーン。 半さん、それ詰むかね。 誰に聞いたんだ。 三浦さん。 あの 人、よく立つからね。 半さん、詰むかね。 「つまらねえ」。 一円出せ。 こ れまでの支度をしたのか、一本取られた。 これで一円やるよ、生涯の知恵、 いっぺんに出しやがったな、お前の考えがとてもいいから、もう一円やろう。  そいつは有難い、「一杯のめる」。 おっと、差っ引きだぁー。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
「等々力」を漢字一字で書いて下さい?

コメント:

トラックバック