春風亭朝也の「まぬけの釣」2016/11/26 06:31

 21日は寒い日だったが、第581回落語研究会があった。 国立劇場は昭和 41(1966)年11月の開場から50周年ということで、駐車場の塀には赤提灯が さがっている。 落語研究会は昭和43(1968)年3月14日が第1回だったか ら48年9か月ということになる。

「まぬけの釣」      春風亭 朝也

「法事の茶」       古今亭 菊之丞

「品川心中(通し)」    五街道 雲助

          仲入

「茶代」         柳家 喬太郎

「子は鎹」 文左衛門改メ 橘家 文蔵

 春風亭朝也は一朝の弟子、草彅剛似、オデコが広くて垂れ目。 来年3月真 打に昇進して、三朝(さんちょう)を襲名する、落語界の山頂をめざしていき たいという。 橘家文蔵師の襲名披露を手伝っていて、大小の物を包むサラン ラップが必要になった。 前座に長いのと短いのを買いにやった。 ラップの 幅でなく、50mと30mのを買って来た。

 与太郎、名前からして馬鹿。 馬鹿の西の大関は、醤油を三升飲んで一等賞 になった男、家に帰って寝たら、二度と起きて来なかった。 東の大関は、釣 りをする人、さらにそれを見てる人。 今だ! ソラッ! 早く、上げて! う るさいな。 早く上げて、私は急ぐんだ。

 七兵衛さんは、釣りが好きだから、馬鹿だな。 与太郎、馬鹿のお前に言わ れると、真に迫る。 浮世床の親方が、釣り好きは馬鹿だって。 神様の恵比 須様を知ってるか。 ビールの神様か。 恵比須様は、釣り竿と鯛を持ってる だろう。 くやしかったら、グーと言え。 グー。 本当に言いやがった。

 七兵衛は、寛永寺の池、殺生禁断の場所で、鯉を魚籠(びく)一杯釣って、 問屋でお足にかえている。 あたいも連れてって。 駄目だ。 世間に言うよ。  でかい声出すな。 向かいの婆さんに聞かれたらどうするんだ、お喋り婆だ。  しようがないな、日が暮れたら、腹ごしらえして来い。

 あたい、家に帰ってよく考えたんだ、殺生禁断の池ってのは、釣りをしちゃ あいけないんだろう。 山同心が回って来て、見つかると、六尺棒で頭を三つ 叩かれる。 相手の思いもよらないことを言うんだ。 あなたがこの池に落し たのは、金の斧ですか、銀の斧ですか。 また、三つ叩かれて、涙が出た所で、 言うんだ。 私には、一人(いちにん)の父でもいいし、母でもいいがいて、 患って寝ていて、今わの際に鯉が食べたいと言う、喜ぶ顔をみたら名乗って出 る所存だとな。 孝行の二字は重い。 沢庵石か。 俺は向こうの柳の木の下 にいるから、見回りの寺侍に見つかったら、知らせるんだ。 ちょいと、七兵 衛さん! そうじゃない、アーーッとか、キャーーッとか、大声を出す。

 馬鹿が、キャアキャア言って、釣りをしている。 あれに釣りをしている者 がおるぞ、ワーワー、キャアキャア大声を放ちながら。 おい、こら。 お出 でなすった。 何だ。 痛い、痛い、七つまで勘定したが、わからなくなった。  私には、一人(いちにん)の父でもいいし、母でもいいがいて、患って寝てお ります、今わの際に鯉が食べたいと言う、喜ぶ顔をみたら名乗って出る所存、 早く勘弁しろ、おじさん。 親孝行か、仕方がないな。 名は何と申す? 与 太郎さん。 一杯釣れて、魚籠に入らないんで、風呂敷貸して。

 忘れ物、しちゃった。 何だ。 アーーッ、キャーーッ。 馬鹿は、このま んま帰った。 また釣りをしているのがいるぞ、挟み撃ちだ。 叩かれた七兵 衛、舌がもつれて、アウ、アウ。 口をきけんのか。 キャンキャン。 耳も 聞こえんのか。 ウェイ、ウェイ。 (手振り身振りで、言い訳をする。朝也 はこれが上手かった。) 感心な親孝行だ。 名は何と申す。 (指を七つ折っ て、アカンベエとベッカンコ) 七兵衛か。 今晩は、親孝行がはやるな、大 目に見て遣わそう。有難うございます。 器用な奴だ、今度は口まで利いた。

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