サトウのお蔭か?「江戸城無血開城」2017/01/21 06:36

 [その数日前]ドラマでは、サトウが勝海舟に会うと、新政府軍が攻めて来 れば、江戸の町を焼き払い、住民を逃がす準備が出来ている、と。 勝の「雑 記 瓦解以来会計草稿」に、町火消に頼んだ焼き討ち手当 二百五十両 とあり、 庶民避難を隅田川の船頭に指示している。 さらに、「官軍でなく、反乱軍、民 の安心を考えるのが政事」と言う。

サトウは江戸に入った西郷隆盛とも会う。 江戸の町が戦火で焼き払われる ようなことになれば、安全かつ自由な貿易を求める大英帝国にとっては由々し き事態になるだろう、新政府軍はイギリスの後ろ盾が必要だろう、江戸の町を 焼かないでほしい、と説得するサトウに、西郷は自分は5万人の政府軍を背負 った人格なき総大将だと答える。

 [その2日前]慶應4年3月13日、第一回西郷・勝会談。 西郷は降伏条 件を提示したが、幕府にとっては厳しいもので、江戸での戦闘は避けられない と思われた。 同日、西郷は横浜のイギリス公使館に木梨精一郎を派遣し、イ ギリスの協力を要請した。 ドラマではこの会談中、パークスはサトウからの 手紙を受け取る。 それを読んで、言う。 既に降伏を表明している慶喜を執 拗に攻撃するのは、万国公法に反する蛮行だ、大英帝国は新政府への支援を拒 否する、慶喜の亡命に手を貸すこともある。 木梨は慌て、一存では返答でき ないので、西郷総参謀のもとに持ち帰る、と。

[その1日前]思わぬ横やりが入って、慶應4年3月14日、第二回西郷・ 勝会談。 勝は、降伏条件を手直しし、大胆な修正案を出してきた。 西郷は、 「内乱になればと、虎視眈々と狙う異人どもがいる中に、“青い目の志士”を名 乗る人物がいたことが、物怪の幸い、西郷一身にかけて、お引き受けいたしま す」と言う。 [その日の後]サトウの屋敷で、はまぐりを焼きながら、一杯やっている勝が 言う。 「西郷は言ってたぞ、ありがとう、ってな」 サトウの「ミッション  コンプリート(完了)」。

 「時空超越ドキュメンタリー」と銘打っている通り、「あーねすと・いとう」 こと いとう せいこう 始め、歴史学者の町田明広、佐野真由子、元外交官の 孫崎亨、落語家・桂三輝(サンシャイン)、女優・知花くららの各氏のもとに、 アーネスト・サトウがやって来て、質問に答える。 そこでは、こんな結論と なった。 サトウによるかもしれない「江戸城無血開城」がなければ、明治の スタートは大幅に遅れていただろう。 英仏の直接介入はなくても、双方に武 器は売り込んだであろう、それは世界の現在の状況である。 世界史的に見て も、ピースフルにものは解決し得ることを示している。