「ちはら街並み美術館」のブログ2017/02/21 06:40

 「ちはら街並み美術館」の話を「等々力短信」に書いたのは、2004(平成16) 年3月25日だったから、まもなく13年になる。 9日の朝日新聞夕刊、「訪 ねる」「巣鴨地蔵通り商店街」の「おすすめ」コーナーと地図で、「ちはら街並 み美術館」が紹介されていたので、千原喜美江さんに「よかったですね」とメ ールした。 すると最近、パソコン教室に通ってブログを勉強し、ご夫君千原昭 彦さんの絵を写真にして、昭彦さんの書いた短文を添えたブログを始めたとい う。 タイトルは「ちはら街並み美術館ブログ ホッと一息、町並み便り」

http://ameblo.jp/mei03ck/

 さっそく覗くと、昨年の大晦日に始まっている。

 そこでまず、私のブログ開設前だった「等々力短信」の「ちはら街並み美術 館」を、下記に再掲する。

等々力短信 第937号 2004(平成16)年3月25日

ちはら町並み美術館

 たまに旅行すると、日本全国どこの駅前も、建物からサラ金の看板まで、同 じような景観なのに、がっかりする。 住宅も山の奥まで、新建材の規格品が 並んでいる。 ここ十年か二十年の間に、味のある建物や町並みは、どんどん 消えてしまったのだろう。

 その美術館は、JR山手線・都営三田線「巣鴨駅」から「おばあさんの原宿」 とげぬき地蔵通りを、“とげぬき地蔵”高岩寺の前を通って、ずずっと進み、赤 いパンツも売っている地下鉄漫才の春日三球さんの洋品店を過ぎ、もう少しで 都電荒川線の庚申塚停留所に出る手前、栄太楼という大きな和菓子屋さんの斜 め前の路地を、左に入って三軒目にある。 千原昭彦さん(65)が、整形外 科医院だった建物を買い取り、診察室、レントゲン室、手術室などを展示室に 改装し、1月8日にオープンした。 私は千原夫人の喜美江さんと、学生時代 に文化地理研究会というクラブで一緒だった。 千原昭彦さんは、横浜国立大 学の建築学科を出て大林組に入り、設計部で歴史的建造物の復元などに携わっ た。 52歳の時、原因不明の難聴になって、詩吟やカラオケ、ゴルフなどの 趣味が駄目になり、「視覚的な作業」に切り替え、土曜日曜を古い町家や町並み のスケッチと、その紀行文の執筆に熱中するようになる。 「人間何かを失う と、かわりに何かを得るものである」と、その3年分をまとめ、奥さんの強い 勧めで出版したという画文集『関東路拾遺図絵』(近代文芸社)のあとがきに、 千原さんは書いている。

 千原さんに説明を受けながら、全国行脚の成果である60点を鑑賞する。 0. 1ミリのドローイングペンで描き、ウィンザー・ニュートンの固形絵具で彩色 するという。 屋根瓦、庇(ひさし)、格子、下見板、石畳、海鼠(なまこ)壁、 煉瓦の煙突、上の本の時より、ずっと精密で、丁寧な描写になっている。 か なりの時間をかけて描くのだろう。 その土地の気候風土によく調和した建築 の形態がある。 徳島県池田町や貞光町の「うだつが上がらない」の「うだつ」、 台風銀座の室戸市では壁の「小庇」が美しい。 近景、中景、遠景が入った構 図に、町の歴史の連続性を描き込む。 土地には独特の「色調」があり、陰影、 影の色、日の当り具合を重視するという。 広島県竹原町でスケッチした時は 雨。 尾道に移ったら晴れてきて、いつも同行している喜美江さんがあわてて 戻って、晴の写真を撮ってきたそうだ。 ぜひ一度、ご夫妻の夢が実現した、 古美(ふるび)るものの美学「ちはら町並み美術館」を訪れて下さい。

 ここまで書いた後で、ブログに「「ちはら町並み美術館」再訪」を書き、「等々 力短信」を再録していたのに気が付いた。 建物の写真もある。 休館のデー タだけは、下記が最新。

http://kbaba.asablo.jp/blog/2007/05/08/

「ちはら町並み美術館」

 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨4-14-10 電話03-5394-4170 開館:午前 10時~午後5時(入館は4時30分まで)  休館:月曜日、火曜日、年末年始、夏休み、展示替え期間  入館料:一般・大学生500円、小中高校生300円  交通:JR山手線「巣鴨駅」より12分、都営三田線「巣鴨駅」A3出入口よ り11分、都電荒川線「庚申塚停留所」より4分 (駐車場はない)

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