あじさい時の北鎌倉2017/06/24 07:27

 年賀状に書いた、家内が見つけて何度か行っている「北鎌倉の隠れ家のよう な料理店」へ、とうとう私も行くことになった。 北鎌倉は、紫陽花の季節で ある。 毎年この時期に、極楽寺の成就院へ小尾ゼミOB会で行っていたから、 明月院をひかえた北鎌倉駅の混雑は承知していた。 案の定、北鎌倉駅の狭い ホームをなかなか出られない内に、次の電車が到着した。 しかし、外国人も 多いかと思われる行列は、騒ぐこともなく、粛々と出口へと進んで行く。 こ れから紫陽花を見に行くのだ、という気分が、人々をゆったりさせるのだろう。  だが、駅員も少なく、その対応はけしてうまくはない。 花時の京都で、東福 寺の最寄り駅を降りたことがあったが、警備会社の人もたくさん動員して、整 理をしていた。 事故が起こったら大変だ、北鎌倉駅も少し考えたほうがいい と思った。

 家内がぜひ見るようにという北鎌倉古民家ミュージアム(旧鎌倉古陶美術館) へ行く。 明月院へ行く途中の横須賀線沿いにある。 盆栽やあじさいをテー マにした絵や陶器などの作品を並べた「あじさい展」、庭や建物の周囲で100 種以上の紫陽花を見せる「あじさいの回廊」を開催中だった。 前に家内が感 心した93歳、八塚美代子さんの精密なちりめん細工は「乞巧奠(キコウデン)」 という題が付いていた。 歳時記で見たことのある言葉だ。 『広辞苑』には 「(キッコウデンとも。女子が手芸に巧みになることを祈る祭事の意)陰暦7 月7日の夜、供え物をして牽牛・織女星をまつる行事。中国の風習が伝わって、 日本では宮中の儀式として奈良時代に始まり、後に民間でも行われた。〈季・秋〉」 とある。

 少し戻って、円覚寺門前の踏切を渡り、反対側へ出る。 門前の池をさらっ ていた。 掻い掘り(かいぼり)、換掘(かえぼり)、換乾(かえぼし)とかい うらしい。 捕った魚を坊さんは食わないのだろうな、と下種の勘繰りをした。