旧三井別邸地区と「めしや“大磯港”」2017/08/03 07:06

 県立大磯城山公園の旧吉田茂邸地区から、国道1号線を越えた山側が、旧三 井別邸地区である。 山を登って行く、緑が深くて涼しい、ユリが咲いている。 入口付近は海抜14Mだが、展望台は海抜42Mである。 この展望台の所に、 旧三井財閥当主の別荘、城山荘本館が建っていた。 大磯在住の仲間の記憶で は、素晴らしい建物だったそうで、非常に価値のある木造建築だったが、解体 され、他の建物とともに各地に四散してしまったという。 その北側に三井別 荘時代の北蔵が現存し、ギャラリーとして開放されている。 われわれは行か なかったが、展望台の裏手に大磯町郷土資料館(本館)があり、「湘南の丘陵と 海」をテーマに大磯とその周辺の歴史、文化、風土に関する資料が展示されて いる(旧吉田茂邸は大磯町郷土資料館の別館だ)。

 三井別荘時代この地にあった国宝茶室「如庵」(織田有楽斎建立)を模した茶 室「城山庵(じょうざんあん)」が、西門を入った所に建てられて、使われてい る。 茶室「如庵」は、江戸時代初期に織田有楽斎が京都に建立したもの、明 治末期に三井総領家(北家)の手に渡り、10代当主・三井高棟が東京の今井町 邸に移築、昭和11(1936)年国宝指定を機にここ大磯の別荘・城山荘に移され て、幸いにも空襲を免れた。 だが昭和45(1970)年、城山荘とともに、「如 庵」は三井家の手を離れ、名古屋鉄道の所有となり、愛知県犬山市の名鉄犬山 ホテル・有楽苑内で月1回公開されている。 私も平成23(2011)年に犬山 へ鵜飼の旅に行った時、拝観した。 なお、平成17(2005)年に開館した日 本橋の三井記念美術館に「如庵」が再現されている。

 暑い中を歩くのを避け、城山公園前からバスで戻り、大磯小学校前で降りて、 愛宕神社の切通しを抜けた角の和菓子の老舗・新杵(しんきね)へ行った。 西 行まんじゅう、豆大福、残り三つの葛桜を買う。 母が若い時に平塚にいた関 係で、この店が好きで、兄が箱根などへ出かけると土産にしていた。 国道1 号線の先に、真壁豆腐店、大磯・井上蒲鉾店の(新島襄が亡くなった旅館百足 屋跡、徳富蘇峰筆の碑も)あるのを確認し、「大磯照ヶ崎海水浴場の碑」を曲が って、さらに海岸へ降りると、町営照ヶ崎プールの横に、7月16日に書いた「松 本順の頌徳碑」のオベリスクが見えた。

 われわれの目的地は、左手に広がる大磯漁港の、漁協直営「めしや“大磯港”」 である。 11時開店、11時30分ぐらいだったかと思うが、すでに家族連れな どで満杯で、本日の「出来ますもの」を選びながら、少し待った。 私はイサ キの塩焼き定食、家内はサワラの煮付け定食、それぞれにダツ刺身、小イワシ 唐揚げ、ワカメの味噌汁がつく。 生シラスも頼む。 まことに結構な味で、 お安い、沢山の人が車で駆け付けて来る訳がよくわかった。 大磯駅に戻る途 中の魚屋さんで、仲間はアジの酢〆や干物などを求めていた。

暑い日だったが、さすが大磯、海の風と豊かな緑、降りそそぐ蝉の声や飛ぶ 燕や蜻蛉の姿に、何度か涼しさを感じた。 今回も素敵な大磯散策となった。  綿密な計画を立ててくれた大磯在住の友人に感謝、感謝。