柳家小痴楽の「干物箱」2017/10/02 07:16

 29日は、第591回の落語研究会だった。

「干物箱」      柳家 小痴楽

「鮑熨斗」      鈴々舎 馬るこ

「文違い」      入船亭 扇遊

       仲入

「試し酒」      橘家 文蔵

「五貫裁き」     柳家 三三

 柳家小痴楽、くしゃくしゃ頭が若手らしい。 TBSオチケン、次の馬るこ兄 さんの「鮑熨斗」が読めずに、新作ですかと聞いて、しくじったと。 前に出 してもらった時は(柳亭小痴楽の「磯の鮑」<小人閑居日記 2014.11.1.>)、 雲助師匠の「木乃伊取り」を初めて聴き「キノイトリ」と読んで、前座からや り直せと言われた。 師匠には、紋を付けないようにと言われているので、こ の形で出ている。 落語芸術協会、芸協の所属。 同じ落語家だが、落語協会 とは、一つ違う。 落語協会は、上手い落語家が集まっている。 落語芸術協 会は、落語出来るのかなという人が集まっている。 何、拍手してんの!

 吉原入りびたりの若旦那、お店の金庫から持ち出して使う。 <大声で叱る は真の親子なり><意見聞く倅の胸に女あり><親孝行したくないのに親がい る>。 湯に行って十日帰らない俺が悪かった。 湯冷めする、って言ったら、 親父、怒ったね。 二階に閉じ込められた。 親父は笑わない。 花魁の笑顔、 えくぼがいい、会いたいね。 誰か身代わり、分身が欲しい。 本屋の善さん だ、声色が巧い。 二階で、下の親父の相手をしてもらえばいい。

 善さん、私だ、開けろ。 借金取りか…、何だ若旦那じゃござんせんか。 一 人分しか開かない、おなかを引っ込めて、釘に気を付けて、足元に落とし穴。  要塞だね。

 ここんとこ、親父がうるさくって。 オヤカマシイなんて。 善さん、器用 で、私の声色が巧いって? 先だっての寄合で、親父さんが、若旦那と間違え た。 行きましょう、私が若旦那のコート、帽子で、眼鏡をかけて。 花魁は、 泳ぐように出て来る。 コート、帽子、眼鏡を取ると、花魁が怒る。 そこへ 天下の二枚目、若旦那が登場。 マア、若旦那、洒落がきつい。 私は、ご祝 儀を頂く。 さあ、行きましょう。

 違う、二階でつないでもらいたい、身代わり、分身だ。 嫌です。 めっか ったらどうする、親父さんは柔術ができる、ズドンとやられる。 嫌だ、嫌。  もう頼まないよ、祝儀の一両に羽織、いらないんだ。 えっ、何か言ったでし ょ、ハナに、やります、やります。 あちらで、私のレコ、橘によろしく。

 二階に上がった善さん。 お父っつあん、いいお湯でしたよ。 お父っつあ ん、巧いでしょ。 何が? 若旦那は、今頃、俥に乗ったか、何かつまらない な。 俥屋が、アラヨ、アラ、アラアラ! 何だ、銀之助、うるせえぞ! お 父っつあん、お休みなさい。 お向うから干物を頂戴したのは、お前か、何の 干物だ? ワ、ワ、ワ、の干物です。 何、やぶけてんのか? 大きいのがあ ったようだが何だった? 大きいのは、クジラです。 どこにしまった? 箱 の中にしまっておきました。 何の箱だ? 下駄箱。 下駄箱にしまうか? 干 物箱にしまっておきました。 干物箱?お父っつあんの枕元まで持って来い。  おなかが痛くなりました。 薬を持ってってやる。 治りました。 若旦那は 今頃、花魁にツネ、ツネ、ツネされて、痛い、痛い、痛い! まだ、痛いのか?  大丈夫です。

 あれ、手紙があるよ。 若旦那さまへ、ごぞんじよりか、いい手だ。 一筆 しめし参らせ候、先日はお顔を拝見したとたん、病いたちどころに全快したよ うな心持にあいなり候。 橘さんのお相方、本屋の善公は、もとより嫌な奴な れど、愛想も小想も尽き果てたのは、蒲団の中に越中ふんどしを置き忘れ、臭 気甚だしく、消毒薬やらDDTを振りまいた、チーチーパーパー、カズノコ野 郎。 笑わせやがら。 銀之助、うるさいぞ! うるさいのは、こっちだ。 お い、銀之助! お前、善さんじゃないか、うちの馬鹿に頼まれたな。 お宅の 馬鹿に頼まれた。 お前まで、馬鹿って言うことはない。

 善さん、忘れ物だ、紙入れを洋ダンスの抽斗に。 こら、馬鹿野郎! 帰って きやがったな。 えっ、善公は器用だ、親父そっくりだ。

 長く書いたのは、小痴楽はテンポもよくて、上出来だったから。 芸協でも、 楽しみな若手が育っている。