柳家三三の「五貫裁き」後半2017/10/09 06:34

 こっちは、お咎め一切なしだ。 あとで店の若い者、誰かに御奉行所に届け させよう。 定次郎という若い者が、御奉行所に行ったが、待てど暮らせど、 お呼びがない。 昼近くに呼び出されて、主人の名代で参りましたと言うと、 万右衛門自身、町役人五人組付き添いの上、届けよと命じられた。 町役人五 人組、只では頼めない、日当がいる。 番頭、今日は御奉行様の顔を立てて、 届けに行くとしよう。 しかし、待てど暮らせど、お呼びがない。 町役人五 人組のこめかみには、ジュンサイのような青筋。 夕方近くに、ようやく呼び 出し。 五貫文の科料金、一括で払えませんか? 駄目だ、明日からも来るよ うに。

 一文、持って行け。 昨日より早い。 毎朝、やってる。 八公、起きてた のか。 まだ、寝てねえ。 寝ているものは、起せ。 寝入り鼻だ。 おは、 こんばんは! これ、明日の分、心にかければこそで、御奉行所にお届け頂く 一文です。 「奉行もへちまもあるか」、まだ暗い、家の中に入れてやんねえぞ、 帰って寝ろ、と怒った。 ここで寝よう。 町方巡検の同心が、お前は八五郎 ではないか、何をしておる。 御奉行所に納める大事な一文を、「奉行もへちま もあるか」と、受け取ってくれない。 もう一遍やれ。 何べんやったら、わ かるんだ、「奉行もへちまもあるか」。 どうします、へちまのご家来。 番頭 作兵衛か。 決して、奉行とへちま様を、一緒にすることはありません。 必 ず、受け取るようにしろ。 大家さん、こんなことがありました。 溜飲が下 がった、面白くなってきたな。

 あさっての分を、持ってけ。 お馴染みの八五郎でございます。 毎晩やら れて、八日も寝てないよ。 五貫文の五千文を一文ずつだと、十三年かかり、 半紙も五千枚いる、町役人五人組の日当も大変な出費だ。 番頭、十三年寝な いより、まとまった金で示談にしよう。 どう少なくても、十両はいるでしょ う。 十両か。 明日から、安らかな睡眠が約束されます。

 八っつあんの家は、ここだったな。 中でイビキが聞こえる。 あの野郎、 昼間は寝てやがって。 八っつあん、開けてくれ、徳力屋だ。 大家の所へ付 き合ってくれ。 大家さんも、グーーッと、寝ている。 何、十両で示談にし てくれだと、八、事の起こりはお前だ、嫌なら首を横に振れ、百両でも、二百 両でも…。 今時、十両の端した金で。 一体いくらお出しすれば、よろしい んでございましょうか。 八五郎は、乞食じゃない。 昔、八五郎の爺さんに 世話になったんだろう、人情に背いているから、こういうことになるんだ。 金 は、屁の役にも立たない。 ゆったり百畳敷きに、眠れるようにしてやろうか、 番頭! グーとでも、言ってみろ。 グー。 徳力屋は、八百屋の元手に二十 両出した。

 徳力屋は、施しをする快感に目覚めて、頼って来る者には、小判の五、六両 を渡し、質屋の利息は負け、落語研究会の定連席券をどんどん千枚でも、二千 枚でも配った。

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