「身に入(し)む」と「菊人形」の句会2017/10/15 07:45

 12日は『夏潮』渋谷句会だった。 少し暑さが残る日だったが、さすがに夕 方は暗くなってきた。 ちょうど池上本門寺はお会式だったが、昔はお会式と いうと、だいぶ寒くて、夜は「身に入む」ようだった記憶がある。 兼題は「身 に入む」と「菊人形」、私はつぎの七句を出した。

身に入むや尋ねあぐねて本降りに

身に入むや五百羅漢に己が面

身に入むや次のバスまで五十分

身に入むや廃校と聞く長廊下

菊人形白菊まとひおそかりし

二本松菊人形展白虎隊

天守から人の寄る見ゆ菊人形

 私が選句したのは、つぎの七句。

身に入むや佐渡に数多の能舞台    裕子

身に入むや名簿の名又一つ消え    真智子

身にしむや句会おわりし帰り道    盛夫

菊人形なべて鼻梁の低くからず    英

今風の顔の居並ぶ菊人形       なな

菊足されまた人形の息づける     裕子

 私の結果は、<身に入むや尋ねあぐねて本降りに>を英主宰と孝治さん、< 身に入むや五百羅漢に己が面>を和子さん・耕一さん・淳子さん・さえさん、 <菊人形白菊まとひおそかりし>と<二本松菊人形展白虎隊>を主宰、<天守 から人の寄る見ゆ菊人形>を盛夫さんが採ってくれた。 主宰選3句、互選6 票の計9票、まずまずというか、「鳴かず飛ばず」が続いていた今年では、最 高の成績ではないか。

 主宰選評。 <身に入むや尋ねあぐねて本降りに>…悲しくなるような句。 尋ねてわからなかったのだろう。今日を無駄にしちゃったという、失望、残念 がよく出ている。孤立感も。 <菊人形白菊まとひおそかりし>…凝った句。 凝り過ぎに抵抗感のある人もいるだろうが。忠臣蔵の塩冶判官切腹の場面、白 菊だけの菊人形というのに興味がある。テーマ別の菊人形。異色の句だ。 < 二本松菊人形展白虎隊>…漢字だけの句、面白い。戊辰戦争の地の菊人形。