観世能楽堂で「MUGEN∞能」を観る2017/10/27 07:14

 英語の講演に続いての、チンプンカンプンだった。 チケットを頂いて、4 月にGINZA SIXに開場した観世能楽堂で「MUGEN∞能」東京公演を観た。  MUGEN∞能の同人は、坂口貴信、林宗一郎、茂山逸平、野村太一郎の四人、 この世界の若手なのだろう。 その四人による演目の解説が15分、これがな かったら、もっとチンプンカンプンだったろうと、後で思った。

 演目は、舞囃子「三山」、狂言「千切木」、休憩をはさんで、能「天鼓」弄鼓 の舞である。 解説は茂山逸平の司会で、まず舞囃子「三山(みつやま)」のツ レ・坂口貴信から。 先生のシテ・観世清和(二十六世観世宗家)と踊る。 三 山は大和三山、耳成(みみなし)山、香具山、畝傍(うねび)山。 三角関係、 香具山が男で、耳成山がずっと馴染んできた桂子(かつらこ)、そこへ若い畝傍 山の桜子が現れ、男は若い女の方へ惹かれてゆく。 桂子の嫉妬と妬み、そう いうどろどろした話というだけでなく、桜の花の散るのは早く、命は短いとい う、真の情、心を、見て欲しいと話す。 

 狂言「千切木(ちぎりき)」は、太郎・野村太一郎の解説。 配役は、当屋・ 野村萬斎、太郎冠者・内藤連、立衆・竹山悠樹、中村修一、飯田豪、妻・高野 和憲、後見・深田博治。 千切木(ちぎりき)は、乳の高さに切った棒で乳切 木、喧嘩などにも使う。 当屋・萬斎宅で開かれた連歌の会に、嫌われ者の太 郎は仲間外れにされて、呼ばれない。 連衆なのに、なぜ仲間に入れてくれな いのかと、千切木を持って、文句を言いに来て、逆にボコボコにされる。 太 郎の恐妻が仕返しに現れる。 「諍い(いさかい)果てての千(乳)切木」「争 い果てての千(乳)切木」という諺がある(時機に遅れて役に立たないことの 意だそうだが…)。

 能「天鼓」弄鼓(ろうこ)の舞。 シテ・林宗一郎、ワキ・宝生欣哉、アイ・ 茂山逸平。 演奏は、笛・松田弘之、小鼓・飯田清一、大鼓・亀井広忠、太鼓・ 小寺真佐人、ほか後見と地謡。 解説は林宗一郎、漢の世、天鼓という名の少 年が持っていた鼓が妙なる音を出すので、帝が欲したが拒否され、天鼓は呂水 に沈められる。 だが御殿に置かれた鼓は、不思議と音を出さないので、天鼓 の父王伯を召し出して、打たせると妙音を出す。 帝は感動し天鼓を弔うと、 その亡霊が現れて舞い遊ぶ。 (「弄(ろう)」は、巧みに操るの意だそうだ。)

 理解は、解説の域を出なかったけれど、美しく、凛として厳しい、良いもの を観せて頂いた。 いやはや、伝統芸能を継承していく能役者も囃子方も、た いへんだというのが、率直な感想だった。

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