薄紅葉の洗足池吟行2017/10/31 07:12

 28日は、慶應志木会の俳句の会「枇杷の会」の洗足池吟行だった。 池上線 洗足池駅午後1時集合で、8名の参加。 台風が近づいて雨の予報だったが、 本格的な降りにならない内に池を一周できた。 洗足池は中延の家に近かった ので、子供の頃、ボート遊びなどに来た懐かしい場所である。 10月9日、東 急電鉄が90周年記念で池上線を無料にした時、大行列だったスワンボートも、 土曜日なのに一羽が浮かんでいるだけだ。 洗足池の名は、日蓮上人が病気療 養のため身延から常陸に向かう途中に立ち寄って、池で足を洗ったことに由来 するという。 勝海舟は幕末、官軍のいた池上本門寺へ行く途中に通った、こ の地の景勝を愛し、明治24(1891)年に別邸「洗足軒」を建て、遺言で明治 32(1899)年ここに葬られた。

 池を時計回りに、ヒノキの三連太鼓橋「池月橋」を渡って、千束八幡神社へ。  治承4(1180)年、石橋山の合戦に敗れて安房国に逃れた源頼朝は、千葉常胤・ 上総介広常など平氏方目代(もくだい)に圧迫されていた豪族の参集を得て、 再挙し鎌倉へ向かうことにした。 その道中、千束池八幡丸の丘を本陣として、 合流するのを待った。 明るく照り輝く月が池水に映る夜、頼朝の陣所に向か って、どこからともなく一頭の野生馬が現れ、軍勢の武士たちがこれを捕らえ て、頼朝に献じた。 たくましい青毛に白い斑点が浮かぶその馬体は、池に映 る月影のようだったので、「池月」と命名して頼朝自らの料馬とした。 「池月」 を得たのは平氏討伐が成就する吉兆とされ、軍勢は征旗を高く掲げ、大いに湧 き闘志を奮い立たせたという。 千束八幡神社は、その旗揚げの関係で、「旗揚 げ八幡」とも呼ばれる。 この名馬「池月」(生唼)は、後に寿永3(1184)年 木曾義仲が源義経を防いだ宇治川の合戦で、源頼朝から義経勢の佐々木高綱に 与えられ、同じく梶原景季に与えられた「磨墨(するすみ)」と先陣争いをした と伝えられている。 三連太鼓橋が「池月橋」、少し先には「池月」の像がある。

 さらに進むと、源流の清水窪湧水からの流路があり、きれいな流れを大きな 鯉が行ったり来たりしている。 左手は、桜の季節に花見客で賑わう桜山だ。  水生植物園の八つ橋を渡ると、勝海舟の墓所や碑などのある場所は整備工事中 だった。 日蓮上人袈裟懸松のある御松庵妙福寺を通り、句会場の洗足池図書 館についた。 私は、つぎの七句を出した。

細波に銀杏黄葉の映りをり

薄紅葉スワンボートの滑り行く

浮く鴨の風の流れに逆らはず

デコデコの木肌の欅うすもみぢ

名にし負ふいろはもみぢはまだ青く

そぞろ寒人の気配に鯉の寄る

そぞろ寒日蓮足を洗ふとや

小人閑居日記 2017年10月 INDEX2017/10/31 07:49

7565 オハイオ印ブルーチップ・マッチ箱の詩<小人閑居日記 2017.10.1.>
7566 柳家小痴楽の「干物箱」<小人閑居日記 2017.10.2.>
7567 鈴々舎馬るこの「鮑熨斗」<小人閑居日記 2017.10.3.>
7568 入船亭扇遊の「文違い」前半<小人閑居日記 2017.10.4.>
7569 入船亭扇遊の「文違い」後半<小人閑居日記 2017.10.5.>
7570 橘家文蔵の「試し酒」前半<小人閑居日記 2017.10.6.>
7571 橘家文蔵の「試し酒」後半<小人閑居日記 2017.10.7.>
7572 柳家三三の「五貫裁き」前半<小人閑居日記 2017.10.8.>
7573 柳家三三の「五貫裁き」後半<小人閑居日記 2017.10.9.>
7574 「中秋の名月」前後、月の呼び方<小人閑居日記 2017.10.10.>
7575 志木会・歩こう会で、地元を歩く<小人閑居日記 2017.10.11.>
7576 雅叙園から白金台、常光寺と畠山記念館<小人閑居日記 2017.10.12.>
7577 明治学院・大石内蔵助と福沢諭吉の終焉の地<小人閑居日記 2017.10.13.>
7578 福沢の墓・ヘボン・荻生徂徠・歩こう会<小人閑居日記 2017.10.14.>
7579 「身に入(し)む」と「菊人形」の句会<小人閑居日記 2017.10.15.>
7580 和子さんの研究「身に入む」なぜ秋なのか?<小人閑居日記 2017.10.16.>
7581 再開された『ファミリー・ヒストリー』<小人閑居日記 2017.10.17.>
7582 大竹しのぶ『ファミリー・ヒストリー』の強烈<小人閑居日記 2017.10.18.>
7583 「最後まで耐え忍ぶ者は救われる」<小人閑居日記 2017.10.19.>
7584 ハーフの父の国、母の国<小人閑居日記 2017.10.20.>
7585 すでに「移民」頼みになっている日本の現場<小人閑居日記 2017.10.21.>
7586 「見て見ぬ振り」「いないこと」<小人閑居日記 2017.10.22.>
7588 なぜ小さなラトガースが留学の中枢となったか?<小人閑居日記 2017.10.24.>
7589 『文明としての徳川日本』<等々力短信 第1100号 2017.10.25.>
7590 「等々力短信」1001号から1050号・一覧<小人閑居日記 2017.10.25.>
7592 観世能楽堂で「MUGEN∞能」を観る<小人閑居日記 2017.10.27.>
7593 格式の伝統美と、颯爽としたかっこよさ<小人閑居日記 2017.10.28.>
7594 お能の力、多田富雄講演「Dr.Nohの能談義」<小人閑居日記 2017.10.29.>
7595 「台東 薪能」・白洲正子さんの能・田楽<小人閑居日記 2017.10.30.>
7596 薄紅葉の洗足池吟行<小人閑居日記 2017.10.31.>