時松改メ三遊亭ときんの「ねぎまの殿様」2017/11/05 07:57

 黒い羽織に、灰色の着物の三遊亭時松改メときん、ノーテンキな商売で、な いこと、ないこと喋って、気が付くと帰る、と言う。 客が10人、一番前の おじさんが5分ほどで安らかにお眠りになった。 特に問題はない…、落語に は枕がある。 大事な場面で「ガッ!」、他の9人が皆眠らずにがんばるよう に「ガッ!」。 一度も受けることなく終わると、楽屋口で最初に寝たおじさん が待っていて、手を握って「面白かった、よかったが、君、間が悪い」。

 師弟は親子のようなもので、かばん持ちで出かける、日本は狭いようで広い。  何年か前、帯広へ行って、食事で干物屋さんに入った。 間口の狭い、カウン ターだけの店、火を熾して、後ろに並んで書いてあるネタを焼く。 「わたし、 時価」とある、干物を焼いているおばさんらしい。 おいくらですか? 上目 遣いに、高いわよ。 干物には違いないけれど、煮ても焼いても食えない。

 本郷のお殿様、雪見障子から庭を眺めて、三太夫はおらぬか。 雪は豊年の 貢と言う、風流人なら一句詠むところだ、向島へ参るぞ。 今からですか、や めましょう、ということは口が裂けても言えない。 暇を出される、馘、浪人 はつらかった。 忍びで参る、三太夫、その方一人でいい。 馬で、パカッパ カッ。 三太夫はお年、大変だ。 湯島の切通し、今の春日通り、S字クラン ク。 秘密の情報ですが、湯島天神の宮司の倅が浪人中らしい。 上野広小路、 雪がビューーッと吹き付ける。 広小路は火除け地、江戸では五年に一度大火 があり、プレハブがすぐに建つようになっている。 墨堤へ、浅草寺から両国 橋、両国広小路、小料理屋や煮売屋が並び、鍋物や何かのいい匂いがする。

 縄のれん、余も入ってみたい。 苦しゅうない。 宮下、大神宮様の下へど うぞ。 柏手を打ち、床几を持て。 醤油樽に座布団がのってます。 ササを 持って参れ。 パンダの友達ですか。 酒だ。 三六(さぶろく)か、ダリで すが。 よい方だ。 ダリ一升、燗をつけて。 隣で食しておるニャアという のは何だ? ねぎまでございます。 そのねぎまを持って参れ。 ねぎま、お 待ちどうさま。 白、黒、赤の三毛、熱いの熱くないの。 美味である、美味 である。 熱っちー、この白いのは、鉄砲仕掛けになっておるの。 葱の芯が 飛び出した。 殿様、二合召し上がって、ご機嫌。

 お城に帰っても、ねぎまの味が忘れられない。 殿様、お好みは? ニャア にいたせ。 ニャアというのは、何か。 苦労するのは中間管理職、ニャアが お好みだそうだ。 三太夫さんに聞いて、ねぎまだとわかった。 ねぎま、言 ってみればジャンク・フード。 11月5日、トランプが御徒町のガード下、行 く店は「大統領」。

 台所方、マグロは極上の赤身、白髪葱をさらして、出す。 ニャアにござい ます。 三毛でなく、鼠色。 これはニャアではない。 また三太夫さんに聞 いて、三毛のニャアでございます。 鉄砲仕掛けになっておるか。 ダリを持 て、燗をつけて。 灘の生一本でございます。 まだ足りん! 醤油樽を持て!

(三六(さぶろく)は一合三十六文。ダリは駕籠屋などの符牒で四のこと、一 合四十文の灘の生一本のことだそうだ。)

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