三遊亭歌武蔵の「後生鰻」2018/02/02 07:15

 こちらの会、場所後に来ることが多いけれど、今日(1月24日)は場所中、 鶴竜が玉鷲を引いて負け、栃ノ心は宝富士に勝ち、1敗で並んで、十一日目が 終わった。 どうでもいい。 日本人力士が弱いから、こういうことになる。  騒ぎが一段落したかと思ったら伊之助の問題、伊之助さんはコレではありませ ん、ただの酒乱。 序二段の頃だったか、居酒屋で階段を十六段落ちて、左腕 を骨折した、当り前の酒乱。 それが終ったと思ったら、エジプト野郎が…。  大相撲では徒弟制度が崩壊した、残っているのはわれわれの世界だけ、セクハ ラ・パワハラありの世界。 楽屋の出待ちをして、入門したいと頼んでくる。  まず再考しろといい、それまで言うならご両親を…。 食べられませんよ。 そ れでもよければ、明日からいらっしゃい。 弟子になってくれと頼んだことは 一回もない、師匠や寄席の習慣が嫌なら、辞めろという世界。 あっちは違う、 親方が日本中歩いて見つけてくる、嫌なら辞めろとは言えない。 育成助成金 が出ている。 中学や高校の大会で優勝したのや、ただ太っている、というの を連れて来る。 だから朝青龍なんかも、言うことを聞かない。 こっちはす ぐに破門、馘だって言う。 財団法人を、辞めればいい。 あんなこと、こん なことがあり、百も承知で売った喧嘩、理事会、みんな中卒、コンプライヤン ス、ガバナンスなんてわからない、私も中卒だけど…。 何ですか、あの池坊、 ひどい。 何がひどいって、メイク。(拍手) 隣に入った泥棒みたい、まつ毛、 どんなビューラー使っているのか。 私も、昔の仲間を奢って、世の中に出て いない、いろいろな情報を仕入れている、さくら水産とか鳥貴族とかで。 3 万8千円ぐらいで、お話します。

 一席、お付き合い願います。 浮世絵をご覧になると、お茶漬けの中にも入 っていますが、広重の名所江戸百景「深川萬年橋」、橋から亀の子を紐で吊るし て、遠景に富士山がある。 放し亀といって、買って放すと、功徳になる、ご 利益がある。 両国橋にもある、近くの回向院に墓参りに行って、亀の子が十 文。 亀は万年という、その命を助けるのだからご利益がある。 隣の子、縁 日で亀の子を買ったら、すぐ死んだ。 翌日苦情を言ったら、昨夜がちょうど 万年目。 引っ掻くな、命の親だ、俺のツラをよく見とけ、銭儲けの話があっ たら、俺にしろ。 人間の信仰心のおかげで、亀が迷惑する。

 ご隠居さん、道楽なしで、一つのお楽しみが、神社仏閣のお参り。 二の腕 に蚊がとまっても、叩かない、虫も殺さない。 今日も浅草の観音様をお参り して、天王橋の鰻屋の前にやって来た。 これから鰻を割こうとするところだ った。 その鰻、どうするんだ? これから割くんで。 鰻は虚空蔵菩薩様の お使いだ、その鰻、目の前の川へ放り込め。 冗談じゃない。 その鰻、俺が 買おう。 一匹、三百文。 助かって嬉しいか、何で頬っぺた膨らませるんだ。  前の川へ、ボチャン!

 明くる日も、同じ時分。 昨日は有難うございました。 これから鰻を割こ うとするところで。 割くのは、やめられないか。 こちとら、商売でして。 その鰻、俺が買おう、いくらだ? 三百文。 ザルに入れて。 昨日より、小 さいな。 時化でして。 同じ命だ、売ってくれ。 前の川へ、ボチャン!

 つぎの日は、スッポン。 おいおい。 また来たよ。 生き血を抜こうとす るところで。 いくらだ? 五百文。 無心になって、首を伸ばしているじゃ ないか。 前の川へ、ボチャン! いい功徳になった。 毎日来る。 いいお 客がつきましたな。

 十日ほど、隠居が顔を見せない。 小さいドジョウを、六百文で売ったのが まずかったんだ、阿漕だよ。 銭金じゃない、見なよ、おっかあ、ご隠居来た よ。 患っていたんだ。 何もない、そこにいる赤ん坊をよこせ。 おい、何 をしている。 いらっしゃいませ、蒲焼のご注文で。 いくらだ? 十両。 高 いな。 近頃、赤ん坊が時化で。 買おう。 あれは鬼だ、あんなものに捕ま るんじゃないぞ。 と、言うと、前の川へ、ボチャン!

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