斉彬の最終兵器、松木弘安(寺島宗則)2018/02/23 07:20

 『英雄たちの選択』「これが薩摩の底力!」のつづき。 西洋文明に学べ、 ということで、島津斉彬の最終兵器といわれたのが、頭のいい松木弘安(後の 寺島宗則)。 鹿児島中央駅前の「若き薩摩の群像」は、松木弘安、五代友厚、 森有礼ら、慶應元(1865)年の国禁を犯してイギリスに渡った薩摩藩の使節団 と留学生の像である。 松木弘安は、語学の天才で、医学、天文学その他、マ ルチな才能を持ち、技術の研究もして、仙厳園(磯庭園)でガス灯を灯したり、 城の本丸と二の丸探勝園の間に電信を架設して電気通信の父と呼ばれ、写真術 も実践した(町田明広神田外語大学准教授)。 文久元年30歳で幕府の遣欧使 節団に参加、一年間ヨーロッパを視察する。 川本幸民宛の手紙に、オランダ 語は通じない、オランダは英、仏、独に比べれば百分の一ぐらいの国だった、 と。 

 島津斉彬は、西洋から兵器のような技術だけでなく、国や文化の背景(土壌) も学ぼうとして、スポンジのように吸収できる学者や医者の子を起用して学ば せる(磯田道史さん)。 「分身の術」、スタッフ(指揮官・参謀)とライン(要 員)は違う、「チーム斉彬」(作家・桐野作人さん)。

 ここで、『福澤諭吉事典』の「寺島宗則(松木弘安)」を引いておく。 「天 保3(1832)~明治26(1893)年。政治家、外交官。薩摩藩出水(いずみ) 郷士の二男に生まれる。藩の蘭医に学んだのち江戸に出て、川本幸民、伊東玄 朴らについて蘭学を修めた。安政3(1856)年蕃書調所教授手伝となり、一時 藩主島津斉彬の侍医も務めたが、調所に復帰。その頃に伯父の養子となり、松 木弘安と名乗った。杉亨二らと並んで鉄砲洲の中津藩邸で蘭学塾の教授を務め たこともある。安政5年末、福沢諭吉が江戸に呼ばれ、その関係で親しい交友 が始まったのであろう。文久元(1862)年12月、幕府遣欧使節団一行に福沢、 箕作秋坪らと共に御傭翻訳方として随行した。『福翁自伝』(王政維新)によれ ば、三人はこのとき「諸大名を集めて独逸連邦のようにしては如何(いかん)」 とか「親玉の御師匠番になって、思う様に文明開国の説を吹込んで大変革をさ して見たい」などと語り合ったという。3年7月、薩英戦争の際、五代才助(友 厚)と共に英艦の捕虜になったが、横浜において英国との和議の交渉に当たっ た。/慶応元(1865)年、薩摩藩遣英使節の一員として藩留学生を率い出水泉 蔵の変名で渡英、英外相に雄藩連合政権構想を説いた。4年、新政府の参与兼 外国事務掛に任じられ、以後、外国事務局判事、制度事務局判事、神奈川県知 事などを歴任、創業期の外国事務の第一線にあった。明治2(1869)年外務省 設置とともに外務大輔。5年大弁務使として英国駐在。翌6年帰朝し、征韓論 の政変後、参議兼外務卿となり、12年文部卿に転じるまで、英・独・仏語を能 くし経済学にも通じた外交官として、明治初年の外交を主導した。しかし、福 沢は外交官としての寺島について「実は本人の柄に於て商売違いであったと思 います」(『自伝』)と評している。以後は、元老院議長、駐米特命全権公使、宮 中顧問官、枢密院副議長、条約改正案調査委員などを歴任。26年6月7日没。 [飯田泰三]」

 安政5(1858)年7月16日に島津斉彬が急死、久光の実子忠義が継ぐと、 久光が「国父」として実権を握る。 文久2(1863)年12月、遣欧使節から 松木弘安が帰国、文久3(1864)年には生麦事件、薩英戦争と、薩摩藩存亡の 危機が訪れる。 乗艦が拿捕され五代と共に捕虜となったが、横浜で英国代理 公使ニールとの交渉に当たる。 この時、交渉人になったのが久光の庭方(隠 密)重野厚之丞で、賠償金を払うので軍艦を買いたい、アームストロング砲も 欲しい、貿易をさせたい、と賠償交渉を通商交渉にした。 相手の本心を突い て、事態を打開する薩摩イズムで、イギリスと急接近した。 留学生を率いた 松木らの遣英使節は、貿易協定が使命だった。 下院議員のオリファントは、 貿易による知略が弾丸となると、日本に同情的だった。 クラレンドン外相に 面会した松木は、天皇の指揮のもとにわが国が一体にならなければ独立は難し い、と外交交渉権を天皇に移す新体制の構想を示した。 松木は帰国して、鹿 児島でパークスにも会う。 松木外交は、日本外交のパイオニア。 日本の生 糸を買いたいイギリスと、国内政治で主導権を握りたい薩摩藩の思惑が合致し た。 新生日本へ、斉彬チルドレンの活躍である。

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