柳家喬太郎の「花筏」2018/03/09 07:11

 趣味が多様化しまして、スポーツもやる人、見る人、いろいろいる。 平昌 (ピョンチャン)オリンピック、スポーツには関心ないけれど、報道は見る。  平昌という字から、平尾昌晃を思い出す、お若い方は分からない。 噺家でも、 東京マラソンに出たり、サッカーや野球のチームがある。 男女混合バレー部 を作ろうという話があった、色物のお姐さんのブルマー姿が見たいという。 サ ークル活動もやろうという話になった、飲みながら…、オチケンを作ろうか、 いろんな問題が起きるからやめとこう。 相撲、報道でもいろんなことがある ようですが、東京場所だと必ず噺家が誰かいる。 市馬師匠、顔が大きい。 テ レビを見ていて、師匠が携帯のメールを確認したら…、私からです。 ジャス トのタイミングで、成功したい。

 親方、いらっしゃい。 提灯屋さん、仕事の方はどうかね、日にどのくらい 稼ぐ? 張って、張って、張り抜いて、二分になれば上々で。 実は、看板の 大関・花筏が患っていてね、銚子の村祭の花相撲で、十日間の約束をして半金 貰っている。 医者や薬で、金がもうない。 お前、ウチの大関に似ているな、 無駄にでっぷり太っていて、ゲジゲジ眉毛に金壺まなこ、鼻の穴が広がってい て、歯並びが悪い。 十日間付き合ってくれぬか、相撲を取るわけでない、先 方も大関の顔さえ見ればいいと言ってる。 見物し放題、酒飲み放題、飯食い 放題で、日に一両。 そんなに…、親方、親方、やりましょうかね。

 土地の力自慢、千鳥ヶ浜大吉が強いの、強いの、怪力で、玄人の力士相手に 九日間勝ちっぱなし、明日は千秋楽。 結びの一番、花筏には千鳥ヶ浜。 顔 色が悪いな、飯を食わんかい、酒飲まんかい。 お酒も、水も、半蔵門線も通 らない。 花筏って、私のことでござんしょ。 千鳥ヶ浜、化け物ですよ、殺 されますよ。 勧進元から話があってな、患っているというのに、三升の米、 三升の酒、土俵の脇でワアワア、キャアキャア言って相撲を見てる、相撲の取 れないわけがない。 心配せんでもいい、指一本でも体に触れたら、尻餅をつ いてしまえ。 病気じゃ、患っているんだ、大関の名に傷はつかぬ。 土地の 者も喜ぶ。 回しを取られたらいかん、その時は死ぬ、請け合う。 気迫で仕 切る、目を見てはいかん。

 済まないのは、千鳥ヶ浜の方。 お父っつあん、お呼びで。 大関を土俵の 土に沈めます。 毎日勝っているのは、お前の力だと思っているのか。 花相 撲だ、気付かせぬように負けてくれる。 本職は、はらわたが煮えくり返って いる。 独演会で地方に行くと、必ず土地に落語をやっている人がいる。 前 座に上がってもいいですか、と。 上手いんでね。 ドッカン、ドッカン、受 けてる。 それから一席やったら、あとで、僕とは演出が違うんですねって、 本当に言われたんですよ。 研究会で言うのは、やめようかと思っていたんで すよ。 何ですか、お父っつあん。 命を取っても、お咎めなしだ、遺恨、意 趣返し、お前は明日死ぬ、殺される、請け合う。 私は逆さま事は嫌だ、どう しても相撲を取りたいなら、勘当だ。 見物…、見るだけなら構わん。

 大吉さん、土俵に上がんなよ。 友達連中が、土俵に上げちゃう。 提灯屋、 思わず千鳥ヶ浜を見る、すげえ形相だ、殺される。 可哀想なのは江戸に残し て来た女房と子だ。 熱い涙がボロボロこぼれる。 南無阿弥陀仏。 花筏が 泣いてる、あ、そうか、俺を殺すのか。 親の言うことを聞いておけば、よか った、可哀想なのは両親だ。 南無阿弥陀仏。

 ハッケヨイ、ノコッタ! 提灯屋が手を出した。 相手が、尻餅をついてる。  提灯屋は、土俵をぐるぐる回り出した。 すごい張り手だったね。 張るのは うまいわけだ、提灯屋さん!