二階堂、鎌倉虚子立子記念館での句会2018/06/29 07:14

 鎌倉虚子立子記念館での句会である。 植木や竹によく手の入った、句碑の たくさんある雨の庭を見ながら、ゆったりとしたスペースで、贅沢な句会とな った。  私は、次の七句を出した。

梅雨らしい梅雨に俳人お喜び

そのかみの骨数多埋め梅雨の街

ペラペラの浴衣の娘雨の中

梅雨ものかは弾む遠足傘の列

谷戸道に雨降りかかる草茂る

雨しとど色取り取りの額の花

禅寺のやぐらの奥の五月闇

 私が選句したのは、次の七句。

花合歓の衰ひに雨容赦なく        英

渋滞をやつと抜け出す梅雨のバス     孝治

阿弥陀堂跡の礎石に五月雨るる      孝治

雨止まぬ二階堂川濃紫陽花        孝治

老鶯の声こごもれる雨の谷戸       孝治

山間の寺跡囲み四葩(よひら)かな    一舟

永福寺水面さわがす梅雨本番       伸次

 私の結果は、<梅雨らしい梅雨に俳人お喜び>を孝治さんと一舟さん、<そ のかみの骨数多埋め梅雨の街>を一舟さん、<ペラペラの浴衣の娘雨の中>を 英先生、<梅雨ものかは弾む遠足傘の列>を英先生、<谷戸道に雨降りかかる 草茂る>を英先生と孝治さん、<雨しとど色取り取りの額の花>を孝治さんが 採ってくれて、英先生選三句、互選五票の、計八票とまずまずだった。

 英先生の選評。 <ペラペラの浴衣の娘雨の中>…皮肉、最近の浴衣とやら、 色ばかり派手で、材質も違う、それを鈍感な娘が着ている、現代の哀しい感じ。 それが解説をせずに、おのずから伝わる、俳句のコツを体得している。 <梅 雨ものかは弾む遠足傘の列>…「梅雨」「遠足」の季重なりという人もいるだろ うが、断然「梅雨」に重みのある「遠足」の句。子供たち、小学校高学年か中 学生か、傘の上下、足どり、心の弾みも見える。上五の字余りも気にならない。  <谷戸道に雨降りかかる草茂る>…表記に工夫がある。「雨降りかかる」で一旦 切る。終止形が二つ。雨と、草と、別々に詠む。詩の根幹に生まれる対句表現。 それぞれに奏でるリズム感が、楽しく感じる。  このように読んでいただくと、まことに嬉しい。 間違えて、上手くなった ような気さえしてしまう、ハハハ。