吉野俊彦さんと日本銀行の独立性2018/08/14 08:18

若い頃、日本銀行理事を務めた吉野俊彦さんの本を読んで、影響を受けた。  主なテーマは、日本銀行の独立性、森鴎外研究、その二つから連想されるよう にサラリーマンの二足の草鞋や生き甲斐の問題だった。 高校野球と同じ大正 4(1915)年生れの吉野俊彦さんは、平成17(2005)年に90歳で亡くなった。  日本銀行の独立性を厳しく論じたから、現在の日銀と政権の関係を見たら、何 と言っただろうか。 『歴代日本銀行総裁論』(ダイヤモンド社・1957)、『日 本銀行制度改革史』(東京大学出版会・1962)、『日本銀行』(岩波新書・1963)、 『忘れられた元日銀総裁 富田鉄之助伝』(東洋経済新報社・1974)、『歴代日本 銀行総裁論―日本金融政策史の研究』(毎日新聞社・1976/講談社学術文庫・ 2014)などがある。

 「日本銀行は、物価の安定と金融システムの安定を目的とする、日本の中央 銀行です。」と謳った日本銀行のホームページのQ&A「教えて!にちぎん」に、 「日本銀行の独立性とは何ですか?」という質問がある。 答は「日本銀行法 第3条第1項では、「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重 されなければならない」として、金融政策の独立性について定められています。 また、同第5条第2項では、「日本銀行の業務運営における自主性は、十分配 慮されなければならない」として、業務運営の自主性について定められていま す。」とある。

 そして、「金融政策の独立性」の解説に、「各国の歴史をみると、中央銀行に は緩和的な金融政策運営を求める圧力がかかりやすいことが示されています。 物価の安定が確保されなければ、経済全体が機能不全に陥ることにも繋がりか ねません。/こうした事態を避けるためには、金融政策運営を、政府から独立 した中央銀行の中立的・専門的な判断に任せるのが適当であるという考え方が、 グローバルにみても支配的になっています。/日本銀行法において、金融政策 の独立性確保が図られているのは、こうした考えによるものです。」

 だが、この解説には、後段の補足がある。

 「同時に、日本銀行法では、金融政策が「政府の経済政策の基本方針と整合 的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなけれ ばならない」(第4条)とされています。そのため制度的な枠組みとしては、 金融政策に関する事項を決定する「金融政策決定会合」に政府の代表者が必要 に応じて出席し、意見を述べること、議案を提出すること、議決の次回会合ま での延期を求めることができることが定められています(日本銀行法第19条 第1項、第2項)。」

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