新日本銀行法20年、問われる独立性2018/08/15 07:26

 新日本銀行法が1998年に施行されてから、今年の4月で20年になる。 政 府の監督下にあった日銀の独立性を強め、長期的な金融政策を担うねらいだっ た。 日銀の独立性は、金融政策の政治的乱用を避けるため中央銀行に独立性 を付与する、という国際的潮流に合わせて導入された。 旧法での政府による 総裁の途中解任権もなくした。

 しかしデフレが長引く中、政府との協調を求める声が高まり、異次元緩和を 始めた後は政府との一体化が強まる。 2%の物価目標は、2013年1月の政府 との共同声明で定められた。 当時の白川方明総裁は大規模な金融緩和に慎重 だったが、前年末に発足した安倍政権は大規模緩和によるデフレ脱却を掲げて いた。 13年3月、緩和積極派の黒田東彦総裁が安倍首相に任命され、副総裁 の1人には日銀に批判的だった岩田規久男氏が就いて、4月には異次元緩和が 始まった。 金融政策を決める政策委員会は総裁、副総裁2人、審議委員6人 で構成される。 異次元緩和開始当初は緩和に慎重な審議委員もいたが、任期 満了による交代で徐々に姿を消した。

 現在の日銀は政府に寄り添って大規模緩和を続けている。 黒田総裁は今年 3月、再任が決まったが、5年の任期を超えて総裁を務めるのは1656~64年の 山際正道氏以来、57年ぶりのこととなる。

 日銀が政府の借金を支える「財政ファイナンス」も指摘される中、日銀の独 立性はどこへ向かうのだろうか。

 3日の当日記から経済について考えてみるきっかけになった朝日新聞朝刊の コラム「経済気象台」だが、8月7日は「日銀の弥縫(びほう)策の問題点」 (顕伸)に、また教わった。 「いつか景気後退が来ることは歴史が教えてい る。景気が穏やかなときを利用して、いつか来る嵐に備える慎重さが必要なの だ」と、昨秋の講演でウイリアムズ ニューヨーク連銀総裁が述べたそうだ。 ア メリカの連邦準備制度理事会(FRB)は、景気の良い今、いつか来る景気後退 に備えて着実に、4回にわたって利上げを実行し、今年の終わりには短期金利 を2.5%までもっていくといわれている。 年内にそれだけの利上げができれ ば、景気後退が来ても少なくとも2.5%幅の利下げができる。 日本の景気拡 大は年末に、おそらく戦後最長に並ぶ。 にもかかわらず日銀は、先月末、異 次元緩和を「強化」すると発表し、来秋の消費増税による景気への影響が消え るまで続けると宣言した。 長期金利はほんの少しだけ引き上げた。 弥縫策 とも言える宣言で、本来着手すべき景気後退への備えはさらに遠くなった。 い ずれやって来る景気後退では、FRBとの差が歴然となって現れるだろうと、い うのだ。

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