三遊亭歌武蔵の「禁酒番屋」2018/08/27 07:16

 暑さがぶり返して、私は皆さんより暑い、二三日涼しかったので、今日は辛 い。 貴乃花親方が倒れたそうで心配、心筋梗塞だとか熱中症だとかいわれて ますが、ずっと心労をかかえていた。 日馬富士の傷害事件では、DAMの株 が上がった、リモコンが丈夫だというんで。 内閣府に提訴したりしたが、今 度は身内が傷害事件を起こして…、支度部屋でなくトイレか何かでやればいい のに、協会の№3から87番目に下がった。 理事会、みんな中卒、コンプライ ヤンスなんてわからない、風邪薬かなって、咳が出たらガバナンス、私も中卒 だけど…。 何ですか、あの池坊の婆さんは、ひどい。 何がひどいって、メ イク、隣に入った泥棒みたい。 至学館大学の学長の会見も、ひどい、パワー のない栄にパワハラができるか、伊調さんは選手なのかとか、江戸小紋みたい な顔をして。 伊調馨と同じ階級の選手を出したくて、田辺コーチと切り離し たかった。 昔から決まっている、イチョウには田辺、切り離せない。

 いよいよ、本題に入ります。 酒のみは奴豆腐にさも似たり、初め四角で、 あとはぐずぐず。 酒飲む人は花ならつぼみ、今日もさけさけ、明日もさけ。  下戸の人もいるけれど、酒は少し飲めたほうが、人生はちょっと楽しい。 ご 酒下されの月見の宴で、武芸自慢が相手を斬り殺した。 殿様はやむなく切腹 を命じ、家来二人を死なせたので、酒を断って、禁酒令を出す。 驚いたのは 城下の酒屋。 しばらく経つと、赤い顔をして戻る者も出て、門に番小屋が出 来、「禁酒番屋」といわれている。

 これはこれは、近藤様。 酒屋、飲んで醒ましてから戻る。 番頭、一升つ いでもらいたい。 ここで飲む。 ご勘弁を。 別の店へ行くぞ、大丈夫だ、 つげ(と、一気に飲む)。 お見事。 とんと夢中で、味がわからなかった、も う一升。 夕刻までに、一升小屋に届けてくれ。 とても無理で。 金子(き んす)は糸目をつけない、何とかしろ、知恵を出して、届けてくれ。

 私にいい考えがあります、菓子屋の梅月堂のカステラの大きな折に、五合徳 利を二本、水引をつけて…。 金子は糸目をつけないって言ってたから、カス テラ代ももらって、みんなで食べればいい。

 菓子屋です、カステラのご注文で、近藤様のお小屋へ。 役目の手前、検(あ らた)める。 カステラで。 水引が皺になります、進物で。 あの近藤がカ ステラとはおかしいと思ったが、進物か。 御同役、通してよろしいか。 通 ってよろしい。 どっこいしょ! 待て、待て、カステラはさように重たいも のではないぞ。 こちらへ出せ、下がっておれ。 何だ、この徳利は? 徳利 でございます、新製品の水カステラで。 控えておれ、検める。 湯呑を、御 同役。 身共も、しばらくやっていなくて。 けっこうな水カステラで。 と んと夢中で、味がわからなかった、もう一杯。 町人は愚かなものだ、控えて おれ。 この偽り者めが、立ち帰れ!

 只、飲まれちまったじゃないか。 今度は私が…、徳利を油でべたべたにし て。 油屋です、徳利は油でございます。 誰の注文だ。 近藤様のお小屋へ。  手落ちがあってはいかん、検める。 どうぞ。 この偽り者めが!

 二升、やられちゃったじゃないか。 あっしに、敵討ちをやらせて下さい。  酒、持っていきません、小便を持ってく、小便を小便と言って、持って行く。  みんなで、寄ってたかって小便をして、徳利につめた。

 門番はもう、すっかり出来上がっている。 ドーーレ、エッ。 向う横丁の 小便屋でございます。 近藤様のお小屋へ。 小便を注文する奴があるか。 畑 の肥やしだそうで。 控えておれ、検める。 今度は、燗をつけて来おったか。   御同役、ずいぶん泡が出ておる。 フッ(と吹く)、酒の性(しょう)がよくな いか。 ワアッ! 何だ、こんなものを、小便が泡立っておる。 ですから、 小便だと申しました。 こなーーっ、正直者めが!