「竹の春」と「桃」の句会2018/09/18 07:04

 13日は『夏潮』渋谷句会。 東横線旧渋谷駅跡に建った渋谷ストリームとい うビルのオープンの日であった。 帰りにみんなでランタンの灯る、渋谷川に 沿って出来た広いプロムナードを歩いて来た。 川に面したビルの裏側を見て いて気付く、そうだ、いつも電車で見ていた景色だ、ここは東横線の線路の跡 地なのだ、と。 句会の兼題は「竹の春」と「桃」、私はつぎの七句を出した。

ただならぬ暑さを過ぎて竹の春

精進の料理待つ間や竹の春

竹の春葉のことごとに雨の粒

飾り置く葉付の桃のよく熟れて

飛騨中学のマドンナの桃送りくれ

桃ガブリあふれて喉の詰まりさう

香を放ち産毛の光る夜の桃

 私が選句したのは、つぎの七句。

誘はれて写経体験竹の春         英

野火止のこゝより寺領竹の春       英

のびのびと風伝へては竹の春       なな

竹の春隠居仕事はつづけをり       盛夫

桃食ぶや記憶の貌はみな笑まひ      英

独りの灯消せば桃の香ひた寄する     英

つつつつと剥く手を伝ひ桃雫       裕子

 私の結果。 <ただならぬ暑さを過ぎて竹の春>を明雀さん、<精進の料理 待つ間や竹の春>を英主宰とさえさん、<竹の春葉のことごとに雨の粒>を庸 夫さん、<飾り置く葉付の桃のよく熟れて>を孝治さんと盛夫さん、<香を放 ち産毛の光る夜の桃>明雀さんと庸夫さんが採ってくれた。 主宰選1句、互 選7票の、計8票、まずまずの成績だった。 主宰の句を4句も採っていた。  作句は相変わらずだが、選句は上達したのかもしれない。

 <精進の料理待つ間や竹の春>の主宰選評。 なるほど、お寺か、門前の料 理屋か、法事の流れで、窓の外を見れば…。 従兄弟に「竹もいいもんだね」 などと、当たり障りない話をしている。

 英主宰は句会の総評で、兼題の俳句を作るということについて、こういう話 をされた。 自分の人生を、賽の目に切ることになる。 それが出て来る。 虚 子編『歳時記』三千の、多い歳時記では一万の、季題から、ふだんは見えない 自分の実像を見ることになる。 半生が、再現される。 小さい魔法のガラス 玉の粒に、自分が映る。 本で読んだ、映画やテレビドラマで見た等々にも、 抜き差しならない場面がいくつかある。 その季題で俳句を作るのは、生涯の 最後かもしれない、詠まれる相手への愛がいる。 「竹の春」の兼題でも、こ んなことってあるよね、と気づく。 自画像、自伝なのかもしれない。

 祐之さんの<隧道を抜けたる墓地や竹の春>の選評でも、「特殊な景。鎌倉に よくあるようなトンネルを思う。詠む時も詠む人の人生経験が出るが、鑑賞す る時も僕(読み手)の人生が出る。」と、湘南育ちでお住まいの英主宰は話され た。