戦国武将の著名なエピソード、ほとんど創作2018/10/22 07:14

 「黒幕説 斬新にみえるが」というのが、10月2日の朝日新聞「呉座勇一の 歴史家雑記」で、びっくりすることが書いてあった。 一般の人が知っている 戦国武将の著名なエピソードのほとんどは、江戸時代以降の文献に登場するも ので、要するに創作である、というのだ。 そうした作り話に基づいて、誰そ れは度量が広かったとか、猜疑心が強かったとか、語っても仕方ない。 戦国 武将の性格診断や心理分析といった記事・書籍の大半は、著者の憶測や想像で 埋め尽くされた根拠薄弱なものなのだ、という。

 たとえば、人となりに関して同時代人の証言が比較的多い織田信長にしても、 小説やドラマで好んで用いられるキリスト教宣教師ルイス・フロイスの信長評 には誇張や脚色の疑いがあり、注意する必要があるのだそうだ。

 意外なことに、最新の研究に従えば、信長は朝廷・幕府・大寺社などの伝統 的権威を尊重し、世間の評判を気にする人物だった。 本能寺の変に黒幕がい たと主張する人は少なくないが、黒幕説の背景には「天才的革命家の信長が明 智光秀ごときに倒されるはずがない」という“信長神話”がある。 一見斬新 な黒幕説は、実は通俗的な古い信長像に依存しているのだ、と呉座勇一さんは 書いている。