荷札木簡から木材の産地に迫る2018/12/15 07:17

 「木簡の年輪年代学」の進展で、接合の検討により原材の姿を復元すること ができるようになり、同一材由来の年輪曲線は、100層以上にまでなった。 こ のように長期間となった同一材由来の年輪曲線は、年輪年代測定や木材産地推 定の基準となる標準年輪曲線とも照合できたのである。

 この成果に基づき、荷札木簡を用いた古代における木材産地推定の可能性も 出て来た。 これまで蓄積された標準年輪曲線を整理してみると、例えば東北 地方の日本海側と太平洋側とでは照合できない場合があるなど、年輪変動の地 域的な違いがあることがわかってきている。 全国から奈良の平城宮・京に集 まってきた荷札木簡に注目する。 調庸などの貢進に際して荷物に付けられた 古代の荷札は、税を納める側で作製され、都に運ばれて破棄されたと考えられ ている。 つまり、各地で生育した木を材料とし、しかも多くはその生育した 地域名が記されているのだ。 この荷札木簡を素材に、地域別の標準年輪曲線 を作成する。 そして、年輪変動の地域的なまとまりを明らかにすることで、 古代の年輪年代学的な木材産地推定をおこなう基盤を構築することができると 見込まれるのだ。

 平城宮・京跡から出土した荷札木簡には、上総国(千葉県中部)から送られ た高級乳製品「蘇(そ)」、紀伊国无漏(むろ)郡からの「鯛」、周防国大嶋郡務 理里からの「塩」などのものがあり、目の詰まった良材が荷札として各地から 集まっている。 木簡は「木」としても、古代の貴重な情報の宝庫なのである。