柳家小満んの「姫かたり」前半2018/12/30 07:30

 春浮気、夏は元気で、秋ふさぎ、冬は陽気で、暮はまごつき、なんて申しま して、まごつきながら出て参りましたが…。 お雛様の頃、日本橋の十軒店(だ な)に人形の市、ずらっと店が出る。 値切って、値切って、値切り倒して、 懐を見たら、財布がなかった。 人混みで、掏られていた。 二月の半ばから 半月ほど、武者人形は、四月の半ばから。 七月はお盆で、草市、仏市、蓮の 葉、鼠尾草(みそはぎ)を供え、送り火を焚く。 ほおづき市は陰気だが、暮の歳の市は陽気、一陽来復、雪掻きや踏み台、踏み台はまめ台(?)と言った。  「叩き」が売れないので、倅が「差配」と言って、「来年いっぱいのサイハイだ よ」とやると、「サイワイ(幸い)」に聞こえて、よく売れた。 工夫次第だ。  これが御奉行様の耳に入り、青緡五貫文のご褒美を頂いた。 これが親の「叩 き」を売ったてんで、評判になる。 「浅草の二日は江戸の台所」、十七日、十 八日の二日、売る方は威勢がいい、新年のお飾りを「市ァまけたァ、市ァまけ たァ、注連(しめ)か、飾りか、橙(だいだい)か!」と売る。 「市ァまけ たァ、市ァまけたァ、注連(しめ)か、飾りか、橙(だいだい)か!」の声が、 雷門の外まで聞こえた。

 雷門、正しくは風神雷神門なので、「風の神、雷門に居候」、何度か火災に遭 った、「門が無くても雷門」。 あの重い雷門を、お婆さんが担ぎ上げた。 ど このお婆さんだね? 雷おこしの、お婆さん。 「市ァまけたァ、市ァまけた ァ、注連(しめ)か、飾りか、橙(だいだい)か!」 露店は、馬道から浅草 御門のあたりまで、ずらっと並んで出た。 「浅草は安い地主が二日出来」。

 浅草御門の方から、馬道へ、立派な駕籠。 山路殿、姫様のご様子がおかし い。 にわかの差込みを起こし、大変なお苦しみ。 どなたか、近くに高名な る医者を知らんか? 随身門(今の二天門)の脇に、高橋玄庵という医者がお りますが、薬料が高い。 高くても構わん。 大きな邸宅を構え、大きな柚子 の木がある。 実は、もともとは按摩で、鍼医上がり、一方、高利の金を貸す という評判のよくない医者だった。