柳家小せんの「金明竹」後半2019/01/03 08:04

 また、人が来た。 「ちょっと、ごめんやす。 旦(那)はん、いてはりま すか。 わて京橋中橋の加賀屋佐吉方から参じました。 先だって仲買の弥市 を以て取次ぎました道具七品、祐(示右)乗宗乗光乗三作の三ところ物、刀身 は備前長船の住則光、横谷宗珉(王民)四分一拵小柄付の脇差、柄前は埋れ木 じゃと言うてでございましたが、ありゃあたがやさん(鉄刀木)で木が違うて 居りますさかい、ちょっとお断り申し上げます。 自在は黄檗山金明竹、ズン ドの花活には遠州宗甫の銘がござります。 利休の茶杓、織部の香合、のんこ の茶碗、古池や蛙飛び込む水の音。 これは風羅坊(芭蕉)正筆の掛物、沢庵 木庵隠元禅師貼り交ぜの小屏風、あの屏風は、私の旦那の檀那寺が兵庫にござ りますが、その兵庫の坊主の好みまする屏風やさかい、兵庫にやって兵庫の坊 主の屏風にいたしまする、こないにお伝え願います。」 面白えなあ、十銭やる から、もう一遍やれ、伯母さん面白いよ、表によくしゃべる乞食が来た。

 あんた、お家はんですか? お湯屋さんは、二丁ばかり先。 今日もよいお 天気で。 うふふふふ、お茶淹れてらっしゃい。 これに叱言言っていて、二、 三、聞き逃したので、もう一度。 もう三遍もやって、顎がガクガク、耳がガ ンガンしてまんのや。 すぐにお茶を淹れますから。 行きます、さいなら。

 旦那が帰り、誰が来た? 何て言った? 初めは分からない、真ん中はモヤ モヤ、お終いはボオーーッと。 お客さん、お前が出たんだろ、どなただ。 あ ちらの方、着物着て、帯締めて。 馬鹿が移ったんじゃないか。

 そう、中橋の加賀屋佐吉さんからとか。 仲買の弥市さんが気が違って、遊 女は別の客に惚れたといい、その遊女をずん胴斬りにして、ノンコのシャア、 沢庵と隠元豆でお茶漬けを食べて、長船に乗って遠州から兵庫に着いた。 屏 風の蔭で、坊さんと寝たみたい。 一つぐらい、確かなことはないのか。 そ うそう、古池に飛び込んだんだそうで。 そりゃあ大変だ、弥市には道具七品 を買うように、手金が打ってあったんだ、買ったかな。 いいえ、買わずに飛 び込みました。

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