柳家権太楼の「文七元結」上2019/01/04 08:23

 外国の方が沢山いる、浅草雷門は外人だらけ。 本物の外人、見た目が外人、 この前までと全く違う。 しゃべりたい。 私も何度か外国へ行ったけれど、 行くと無口になる。 フィリピンのセブ島あたりだと、何となくコミュニケー ションが取れる。 ひとりでニューヨークへ行った若い頃、ヤンキースタジア ムに行きたかった、松井が出る、フロントの人に地下鉄で行きたいと英語でし ゃべった。 フロントマンがペラペラペラペラ、訳分かんないから、サンキュ ーって、言った。 4日間、ホットドックしか食ってない。 英会話出来たら、 どんなに楽しいか。  今90の金馬師匠が60の時、4人でレストランに行って、いきなりはステー キかとメニューを見て頼むと、ステーキみたいなものが出て来た。 6人連れ の韓国の人がいて、何とかスミダと、いろんなものを注文した。 その向こう の勘定が、みんなこっちに付いている。 金馬師匠、お笑い三人組のあの師匠 が、ヘイ、カモン、ボーイ、トラブル、トラブル、ディス、ワン・テーブル、 ザット、ワン・テーブル、別々、それが一緒、ノー、ノーよ。 ワン、ツー、 スリー、フォー、ジャパニーズ・グループ、ワン、ツー、スリー、フォー、フ ァイブ、シックス、知らない人よ、セパレーツOK? 師匠、英語うまいな、 と言っていたら、しばらくして、ボーイがココア6杯持って来ちゃった。 私、 受けないと、いやなのよ。 気持を切り替えないと、このまま「代書屋」に入 ることに…。

 親は、子供のためには、頭を下げられる。 逆は、いけない。 子がつらい 思いをするのは、悲惨。 左官の長兵衛、歳を取ってからの道楽で、火の車、 家はのべたら喧嘩だ。 暮の二十八日、空っ風の寒い晩。 今、帰った、いね えのかい。 いるよ。 灯りぐらいつけたらどうだ、油を買う銭もねえのか。  博打で、損ばかりしているからだよ。 どこをほっつき歩いていたんだい、家 は大変なんだ。 お久がゆんべからいないんだよ。 お久は、私の子だ、ふし だらじゃないよ。 探しとくれ。

 御免下さい、親方は、いらっしやいますか。 なんだい、番頭さん。 親方、 お久しぶりで、女将さんが今すぐ来て頂きたいといっているんですが。 二三 日、待ってくれないか、家は今、取り込み事で。 それは、娘さんの事じゃな いですか。 お娘子は、うちの店、佐野槌にいる。 お前さん、迎えに行って。  着物がない、お前の着物を貸せ。 私はどうするんだい、風呂敷しかない。 腰 巻はどうした? 昨日、屑屋に売った。 枕屏風で、隠れていろ。