「寒稽古」と「侘助」の句会 ― 2019/01/12 07:19
1月10日は、午前中、第184回福澤先生誕生記念会で三田に行き(後日書 く)、夜は『夏潮』渋谷句会があった。 主宰は、喉の調子が今一つのところを、 寒い夜の句会で、次の日から犬山での泊りがけの稽古会の予定もあるにもかか わらず、熱心に指導して下さり、まことに頭の下がる思いがした。 句会の兼 題は「寒稽古」と「侘助」、私はつぎの七句を出した。
寒稽古弦音響き渡るかな
皹(あかぎれ)の足に血滲む寒稽古
寒稽古裏で雛妓(すうぎ)の目に涙
床の間の侘助にまで日の届き
侘助や明り障子に日の昏るる
侘助やチンチンチンと釜の音
侘助や一輪挿しに銘のあり
私が選句したのは、つぎの七句。
足裏(あなうら)にひつつく床や寒稽古 英
己が声に己れ励まし寒稽古 和子
寒稽古終えれば師範人となる 明雀
白侘助よき人に会ふに似て なな
侘助のささやくごとく咲けるかな さえ
侘助を鉢に育てて谷戸住まひ 裕子
侘助や今宵の話は内密に 由紀
私の結果。 <寒稽古弦音響き渡るかな>を英主宰と和子さん、<床の間の 侘助にまで日の届き>を英主宰と和子さん、<侘助や明り障子に日の昏るる> を孝治さんと耕一さん、<侘助やチンチンチンと釜の音>を由紀さんが採って くれた。 主宰選二句、互選五票の計七票、新年早々まずまずというところで あった。
主宰選評。 俳句会は、人によって、稽古だとしたり、真剣勝負だと考えた りする。 生涯の真剣勝負と思う人もいる。 だが毎回真剣勝負だと、採って もらえないと落ち込む。 大人になって分かるのだが、数出ていると、俳句は 授かりもの、いい句がいただけることがある。 心持の問題だ。 身体を動か す体操、頭の体操とくらべて、俳句は心の体操。
<寒稽古弦音響き渡るかな>…うまい句、弓術はほとんど無言。弓の弦をな らして妖魔を祓うまじない「鳴弦(めいげん)」、呪術にまで通じそう。 <床の間の侘助にまで日の届き>…「にまで」は損、作者の顏が見えて、景が 見えない。「床の間の侘助に日の届きをり」と添削。読者は素直についてくれる。 (理屈や説明が駄目なのは、いつも注意されていることなのだが、ボォーッと つくっていると、ついやってしまう。反省!)
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