勝手に設計仕様を公開し、誰もそれに気づかなかった2019/01/14 06:15

 冷戦の真っただ中で、米国国防総省のために働いていたヴィント・サーフと ボブ・カーンが、これからの通信基盤の中核となるプロトコルの設計仕様を、 公開してしまうなんてことが、なぜできたのか、ヴィント・サーフは講演で、 こう語っている。

 「まず、そもそも私たちは当時そうなることを知らなかったのです。そうな ると予見すらしていませんでした。そうなればよいなと期待はしていましたが、 確信はありませんでした。次に、私たちは誰にも許可を求めることなく勝手に 設計仕様を公開し、誰もそれに気づきませんでした。もしいま同じことをして、 当時のようにできるかどうかはわかりません。でも、このようにプロトコルを 公開するという概念こそが、多くの人々に採用され、利用され、進化してきた 大きな理由だと考えています。ワールド・ワイド・ウェブの発明者であるティ ム・バーナーズ=リーも、同じことを主張し、同じ理由で同じように行動しま した。」

 「その結果として、インターネットの標準を規定する手順はIETFというオ ープンなプロセスとして生まれました。この委員会はとても奇妙で、誰も会員 になることはできません。IETFの委員として会員登録できる組織は存在しな いのです。あなたは、何かいいアイデアを公開することで参加することしかで きません。もし、その案が優れていれば、人々はそれを採用して実装します。 誰も気に入らなければ無視されます。完全な実利主義です。その結果、標準の 決め方として最もオープンなプロセスであり続けるのです。」

 ここに出て来た人名を、同書の註で見ておく。 ボブ・カーンは、ロバート・ エリオット・カーン、1938年生れ、BBNテクノロジーズ在職中の1969年に ARPANETのIMP(パケット交換機)を開発。 その後、DARPAに移り、ヴ ィント・サーフとともにTCP/IPを設計した。 DARPAでは、インターネット 技術の研究と普及、コンピューター技術の研究計画に携わっている。

 ティム・バーナーズ=リーは、ティモシー・ジョン・バーナーズ=リー、1955 年生れ、MITに在籍する英国のコンピューター科学者。 1980年、ソフトウ ェアコンサルタントとして欧州原子核研究機構(CERN)に滞在中に、ワール ド・ワイド・ウェブの仕組みを考案。 ウェブ関連技術の標準化団体、W3C (World Wide Web Consortium)のディレクター。

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