柳家緑太の「星野屋」2019/01/26 07:15

 23日は、第607回の落語研究会、暖かい日だった。

「星野屋」      柳家 緑太

「まぬけの釣」    古今亭 志ん五

「火焔太鼓」     橘家 圓太郎

       仲入

「お見立て」     立川 生志

「福禄寿」      柳家 さん喬

 緑太は「りょくた」でなく「ろくた」、花緑の弟子だから。 大分の出身で、 父と母の名前を言い、父と母の名前だけは憶えて行って下さいと言ったが、た ちまち忘れた。 50人ほど入る独演会、ずらっと12、3人。 打上げに、引っ かかるご婦人がいて、占い師、ホロスコープ(占星術)、星座や月を見る。 今 日は月蝕で、大きな決め事はしない方がいい。 重大なことを決めた、今日、 来年の独演会を決めちゃった。 そういう小さい事はいい、と言う。 ずいぶ ん下に見られている。

 お妾のお花の所へ、昼間から星野屋の旦那が来る。 おっ母さんは講釈を聴 きに行っている。 ここに二十両ある、別れてもらいたい。 旦那と私は、お 金でどうのこうのって仲じゃない。 女ができて、私が嫌になったんでしょう。  と、いうようなもんじゃない、店の暖簾を下ろすことにした、番頭の重吉、重 さんが店に穴を開けた、商いもどうしようもない。 旦那はどうなさるんで。  この世に未練はない。 死ぬんですか、死ぬんなら、私も一緒に死にますよ。  ありがとう、一緒に死のう。 ヘッ! 本当に。 家に戻って、支度をして、八 ツの鐘が鳴った頃に、また来る。 旦那ーッ、旦那ーッ! 弱っちまったよ、 でもどうせ気が変わるに違いない、湯でも行こうか。 呑気な奴があるもので、 湯へ行って帰って来た。

 八ツの鐘が鳴って、お花いるかい。 おっ母さんは? 奥で休んでます。 上 がって下さい、奥で一杯やりましょう、景気づけに。 早く来ておくれ。

 大川の吾妻橋、身を投げて死のう。 私、泳ぎを知らないし、風邪引いてる。  死ぬんだぞ。 飛びます、飛びます。 おっ母さんには、お別れに何て言えば いいんでしょう。 先立つ不孝をお詫びします、草葉の陰で待ってます、とで も言えばいいだろう。 私は先に行くよ。 ドボーーン! 飛び込んじゃった よ。 旦那ーッ、旦那ーッ! 下に、屋形舟、芸者を揚げて遊んでいる、♪さ りとは狭いご料簡、死んで花実が咲くものか。 生きる希望が湧いて来た、旦 那、三十年か、四十年したら行きますからね、失礼!

 お花は家に帰ったが、眠れない。 酒をちびちびやっていると、表は盆を返 したような土砂降り。 重吉だ! 旦那は来てねえか? 旦那って、なんだ。  一杯飲んで寝たら、枕元で呼ぶ声がする。 ざんばら髪の旦那が座っている。  重吉、よく聞け。 お花と身投げをすることにして、俺が飛び込んだのに、あ の女が身投げをしない、呪い殺す。 お前が間に入った女だから、あの女の所 に出る時は、その前にお前の所に寄るって、消えた。 すると、旦那のいた所 の畳が、ぐっしょり濡れていた。 ここへ来たら、じかに来てくれって、言っ てくれ。

 どうしたらいいかね、浮かんでくれないかね。 何でもするか。 お前の自 慢の黒髪をばっさりやって、尼さんになれ。 お花は、奥へ行って、黒髪をプ ッツリ切り、姐さん被りになって出て来て、髪を重吉に渡す。 いい色だ、こ れなら浮かんでくれるだろう、聞いてやろうか。 旦那、浮かんでくれますか?  

星野屋が現れる。 アッ旦那、ご無事で何より。 旦那は、もう一軒店を出 そう、それを手前えにやらせようかってんで、料簡はどうかと試すことにした。  あの屋形舟には、腕っこきの船頭が五、六人乗っていたんだ。 旦那、もう一 遍、行きましょう。 団扇太鼓を買ってくるから、その恰好で、ドンツクドン ツク、町内を回れ。 なんだ、そういう筋書きかい、その瞼(まぶた)の下に ピカピカ光っているのは、目かい、よく見なよ、見えないんならくりぬいて銀 紙でも貼っておきな。 それはカモジだよ、本物は、ほら、この通り(と、ほ っかぶりの手拭を取る)。

お前の手が後ろにまわるよ、旦那の渡した手切れ金の二十両、あれは偽金だ。  おッ母さん、大変だ、お金を持って来ておくれ。 こんなもの、はいよ。 お 前の瞼の下にピカピカ光っているのは、目かい、よく見なよ、見えないんなら くりぬいて銀紙でも貼っておきな、この金は正真正銘の本物だ。 くやしがる お花に、母親が「大方そんなことだろうと思ったから、三枚くすねて置いた」