「磯遊」と「金鳳華」の句会2019/04/15 07:05

 11日は、「夏潮」渋谷句会だった。 寒い日だったが、会場の渋谷区リフレ
ッシュ氷川の前の枝垂桜がきれいだった。 兼題は「磯遊」と「金鳳華」、私は
つぎの七句を出した。
  裾野まで富士見えてをり磯遊
  追跡は小蟹迷惑磯遊
  父親が一番夢中磯遊
  磯遊イソギンチャクに指を入れ
  ご当地の歌手の噂や磯遊
  ガラス瓶縁取る花壇金鳳華
  お袋の声する庭や金鳳華

 私が選句したのは、つぎの七句。
  覗き見て大人が夢中磯遊     淳子
  何時の間に踝浸かる磯遊     正紀
  小魚を幼(おさな)囲みて磯遊  一舟
  磯遊大和煮缶とおにぎりと    なな
  黄の色は太陽の色金鳳花     英
  ダム底となる日近づく金鳳華   和子
  金鳳花を帽子に付けて丘下る   正紀

 私の結果。 <裾野まで富士見えてをり磯遊>をななさん、<追跡は小蟹迷
惑磯遊>と<磯遊イソギンチャクに指を入れ>を由紀さん、<ガラス瓶縁取る
花壇金鳳華>と<お袋の声する庭や金鳳華>を英主宰が採ってくれた。 互選
3票、主宰選2句の計5票と、寂しいながらも、主宰選の2句に救われた。

 主宰選評。 <ガラス瓶縁取る花壇金鳳華>…いかにも金鳳華が持っている
昔を懐かしむ気分が出ている。古いガラス瓶を使って縁に並べた花壇。と思っ
たら、作者がガラス関係だった。 <お袋の声する庭や金鳳華>…二つ並べて
昔を懐かしむ気分だとみたら、同じ作者だった。母親はこの世にいない気がし
た、もう亡くなっている母親の声が聞こえる。金鳳華はその明るさの反面に、
翳がある。

 私も採った<ダム底となる日近づく金鳳華 和子>に関連する主宰総評。 
兼題の句会は、季題を追及する、攻めて行く、色合、形状……、自分の経験、
人間の生れてきた運命まで、見えてくる。 三十年、五十年にわたる事業の、
あるところにいる。 そういう句の、有り様は大切。 有り体に言えば、俳句
の半分は経験。 同じ季題を繰り返す回数が増えて来ると、細かいところが見
えてくる。 長生きすれば、上手くなる。