「若楓」と「立夏」の句会2019/05/16 07:14

 9日は、『夏潮』渋谷句会があった。 兼題は「若楓」と「立夏」、私は次の 七句を出した。

若楓のトンネル抜けて開山堂

雲水の頭(ツムリ)に映る若楓

若楓と新しき代の風を受け

ジャスミンの風がふはりと夏来る

バラの枝雨に垂れ来て夏に入る

アウトバウンドの女は半裸夏に入る

すは海への齢でなけれど夏来る

 私が選句したのは、次の七句。

若楓葉先に仄と紅(コウ)掃きて      和子

小康を得るは大慶夏は立ち         英

駒下駄の鼻緒のきつく夏に入る       和子

トランペット明るく響き夏来る       孝治

立夏かな日がな一日海を見て        真智子

大木の花のにほひや夏は来ぬ        淳子

フランスパン脇に抱へて夏に入る      庸夫

 私の結果。 <若楓のトンネル抜けて開山堂>を英主宰と正紀さん、<雲水 の頭に映る若楓>を英主宰とさえさん、<ジャスミンの風がふはりと夏来る> をななさんと正紀さん、<アウトバウンドの女は半裸夏に入る>を正紀さんが 採ってくれた。 主宰選2句、互選5票、計7票、いつもと同じような成績だ った。

 主宰選評。 <若楓のトンネル抜けて開山堂>…うなずける句。伽藍の中で の開山堂の在り場所は、個別のお堂と少し離れたような、そんな所にあるのを、 素直に詠んだ。 <雲水の頭に映る若楓>…若い雲水の頭は、鏡のようにテラ テラとしていて、それに若楓が映る様子が見えて、いいと思う。

 私も選句した句の主宰選評。 <駒下駄の鼻緒のきつく夏に入る>…駒下駄 は毎日履くものではないが、浴衣の折などに履き、秋風の立つ頃には馴染んで くる。 <トランペット明るく響き夏来る>…トランペットは、周辺の楽器の 中でも、底なしに明るいリズムと音色が、夏来るに合う。サキソフォーンでは だめ。 <立夏かな日がな一日海を見て>…人気のあった句、若い人にはわか らないかもしれないが、心を落ち着けて、海を眺めている。やって来た海へ、 戻って行く。