福沢美和さん記念の公開講座2019/06/11 07:26

 福沢美和さんの遺産は、慶應義塾に約三分の二、熱心な会員であった福澤諭 吉協会に約三分の一が遺贈された。 その遺贈を記念して、福澤諭吉協会では 2018年度から公開講座を開講している。 初年度は小室正紀さんの「『時事新 報』経済論を読む―『全集』未収録論説を含めて―」で、今年度も続行中、さ らに新たに坂井達朗さんの「福澤関係史料を原文で読む―書簡を中心にして―」 が増設開講された。 私は両講座に参加させて頂いて、毎月(今年度からは月 二回)三田キャンパスの研究室棟に通い、充実した時間を過ごしている。 福 沢美和さんのおかげである。

 小室さんの講座については、いずれ書かせて頂くつもりだが、坂井達朗さん の第二回、6月8日の「幕藩制批判の二つの道 : 洋学と国学と。」に、「馬場佐 十郎」が出てきたので、「馬場佐十郎」について書いてみたい。 坂井さんは、 福沢が藩命によって途絶えていた蘭学塾を再開するため江戸出府したことにつ いて、中津藩が蘭学の先進藩としての自負を持っていた事実を二つ挙げた。 一 つは、『解体新書』翻訳[安永3(1774)年]で、指導的役割をはたしたのは中 津藩医前野良沢(享保8(1723)年~享和3(1803)年)。 もう一つは、『中 津辞書』、中津版オランダ辞書『蘭語訳撰』文化7(1810)年、「馬場佐十郎」 の草稿を中津藩士神谷弘孝が写し、藩主奥平昌高(福沢の時代の四代前の藩主) が編集した。

 このあたりのことは、下記で触れていた。

築地の「日本近代文化事始の地」記念碑二つ<小人閑居日記 2015.11.24.>

『解体新書』と『蘭学事始』<小人閑居日記 2015.11.25.>

福沢諭吉と『蘭学事始』<小人閑居日記 2015.11.26.>

「フルヘッヘンド」と「連城の玉(璧)」<小人閑居日記 2015.11.27.>

 「馬場佐十郎」については、姓が同じなので、二度書いたことがあった。 そ れは、また明日。