橘家圓太郎「小言念仏」のマクラ2019/09/02 07:20

 国内の島に、一週間ほど滞在して、自転車で一周したりした。 お爺さんが、 畑にプールをつくって、未就学児童の面倒をみている。 発達心理学や大脳生 理学をやった人で、三歳児が何で、五歳児が何だか、子供たちをずっと見守っ ている。 最近、イライラしている人が多いのは、子供の時に遊ばなかったか らだそうだ。 他人との距離感は、脳ができてから学ぶ。

 私(圓太郎)は、福岡の有名な質屋の息子で、三歳から福岡女学院付属幼稚 園で学んだ。 だから、寄席で笑わない客がいると、イライラする。 子供は、 うっちゃらかしておくと、上手く育つ。 親父は次男坊で、家には仏壇がなか った。 仏壇のある家は40%ぐらいで、小さい時から仏壇に手を合わせる習慣 があるのは、いいそうだ。 自分は、お爺ちゃんが大好きで、よく本家に行っ ていたから、仏間で手を合わせる習慣があった。 訪問した家で、仏壇にお線 香をあげると好感度が上がる。

 お爺ちゃんは、男は笑っちゃいけないと教えたので、笑うことができない。  長生きしたいと言っていて、87、8歳で死んだ。 近所の評判が悪い、人望が ない。 のびのびしていて、爺ィの中の爺ィだった。 若者が玄関先にタバコ を捨てたら、二人を捕まえた。 糞爺ィ、早く死んじゃえ! 何を言われても、 聞こえねえんだぞ!

 遊ぶだけ遊ばせて、老いてゆく姿を見せることが大事。 昔、トライアスロ ンをやっていた。 歳を取ってやると、引っくり返る。 その姿が、人を育て ていると、気付いた。 アクセルとブレーキを踏み間違える事故が多発してい る。 落語研究会や電話でも、踏み間違えることが多々ある。 ベテランが受 けないこともある。 しょうがないものは、しょうがない。 私も、そういう ステージに上がっている。