福沢諭吉、マーマレードを作る〔昔、書いた福沢147〕2019/11/04 07:18

     福沢諭吉、マーマレードを作る<小人閑居日記 2002.7.9.>

 『福沢諭吉書簡集』第七巻(岩波書店)で、面白い手紙を見つけた。 明治 26年7月2日付け松岡勇記宛書簡(書簡番号1779)、松岡勇記は緒方塾の 同窓で医師、栃木病院長、茨城病院長、根室病院長などを歴任、この時は郷里 の長州阿武郡に隠退していたという。

 今日のような「俄に暑気を増して盛夏の如し」という挨拶で始まるこの手紙 で福沢は、「子供打揃ひ喜び候て毎日毎日いただき居候」と松岡が送ってくれた 夏みかんの礼を述べ、「マルマレット」の作り方を教えている。 曰く「かの皮 は裡面の綿のやうなる処を去り、表面の方を細に刻み、能(よ)くうでこぼし て大抵苦味を除き、一夜水にひやして、更に砂糖を入れて能く能く煮詰めし後 ち、所謂(いわゆる)マルマレットと為」る。 「但し砂糖は思切て沢山に用 (もちい)、凡そ皮のうでたるものと等分位に致し、或は水飴を少し混ずるも可 なり」                

 舶来屋で買えば、小さな缶詰(直径5×高さ7.5センチくらいの缶の略図 が描いてある由)で「二十五銭位の小売なり。 馬鹿に高きものに御座候」と ある。 明治26年の25銭がどのくらいの値段かを、週刊朝日『値段の文化 史』で調べると、明治24年の朝日新聞月決め定価が28銭、明治28年の上 等酒が一升21銭、明治28年の天丼(並)が4銭だった。