春風亭㐂いちの「熊の皮」2019/11/10 07:45

 〔昔、書いた福沢〕シリーズをちょっとお休みして、ひさしぶりに落語であ る。 10月25日は、第616回の落語研究会だった。

   「熊の皮」     春風亭 㐂いち

   「田能久」     入船亭 扇辰

   「蒟蒻問答」    三遊亭 歌武蔵

           仲入

   「天狗裁き」    桂 三木助

   「たちきり」    入船亭 扇遊

 㐂いちは一之輔の弟子、5月に二ッ目になった、この仕事に5年、慣れて、 緊張しない、と言う。 でも自信、責任感は、しっかり、まるでない。 お客 の自己責任、真剣にやる仕事ではないと学んで5年、それをご披露する。

 夫婦は女性が強い方がうまくいく、かかあ天下。 今、帰った、みんな売れ た、菜っ葉一枚ない。 おかみさん達が待っていてくれるんだ。 私も、お前 さんを待っていた。 水を汲んで来て…、桶をもう一つ、二つ持って。 タラ イに水あけて。 ついでに、洗濯物、洗って、絞って、干すんだよ。 きつく 絞って、パンパンと叩いて。 ついでに、お米を研いで。 研ぎ汁は、捨てな いで、食器を洗うんだよ、キュッ、キュッと。 腹ペコで帰って来たんだ、飯 を食わしてくれ。 遠慮なく、上がんな、出てるだろ、おこわ。 赤飯か、旨 そうだ。 角の先生から頂いたんだ。 一人でお食べ、私はお茶漬で済ませた から。 クチュ、クチュ、旨えな。 お茶、お茶。

 食べたついでに、おこわのお礼に行ってもらいたい。 俺はそういうのは苦 手だ。 一家の主だろう。 実質、お前が主だ。 食べたのは、誰? 行くよ。

 お礼の言い様がある、裏から行くんだ、「先生、ご在宿ですか」と訊く。 先 生にお目にかかったら、「さて、承りますれば、お屋敷からお祝いの到来物があ りましたそうで、お門多いところを、私共にお赤飯をありがとうございます」 と言うんだ。 駄目だよ、お前は亭主の実力がわかってない。 口移しに教え るから。 えっ、まだ昼間だぞ。 真似して、言うことだよ。 「サテ、ウケ ウケウケタマタマワスレバ……ウエーン」 泣くんじゃない、怒るよ。 「何 でも、お屋敷様から、ご到来物だそうで」。 それから、お終いに、私からよろ しくって、言うの忘れないで。 おかしいだろう、行った俺が「私からよろし く」ってのは? 女房オ!

 あんなこと言っているけど、あいつは俺が好きなんだ、オッと、通り過ぎた、 裏からじゃなく、表から行っちゃおう。 先生は、ご退屈ですか。 先生、町 内の甚兵衛さんが見えました。 先生に言いてえことがありまして、先生は、 ご退屈ですか。 ご在宿かって言いたいんだろう、この通り、お目にかかって いるがね。 「サテ、ウケウケウケタマタマ、テケテケタカスカ……」 どこ か、壊れましたか、ゆっくり。 「ウケウケタマタマ……、ここ抜かします、 お屋敷でお弔いがありましたそうで、お門多いところを、お石塔をありがとう ございます」 甚兵衛さん、不吉なことばかり言うね、こう言いたいんでしょ。  「さて、承りますれば、お屋敷からお祝いの到来物がありましたそうで、お門 多いところを、私共にお赤飯をありがとうございます」 先生、聞いていたん ですか。 角のお屋敷のお嬢さんが長の患いでね、いろんな医者に診てもらっ たが芳しくない、私が診たら全快したんだ。

 みんな、先生の所為じゃないと思ってますよ、大丈夫、気を落さないで。 え っ、先生が治した? 珍しいことがあるもんで。 お礼に熊の毛皮を頂いた。 毛 深いんですね、平べったい。 毛皮だからな。 もっこりしているのは。 頭 (かしら)だ。 横丁の鳶頭(かしら)。 熊のだ。 何に使うもんです。 敷 物だ。 尻に敷くもんですか、アッ、女房がよろしく言ってました。