「もゝたろふは、わるものなり」[昔、書いた福沢155]2019/11/19 07:09

     「もゝたろふは、わるものなり」<小人閑居日記 2002.11.2.>

 れいさん、こんにちは。 れいさんの書かれたものを読んで、福沢諭吉の「桃 太郎」を思い出しました。 それは『ひゞのをしへ』というものにあります。  『ひゞのをしへ』は、福沢諭吉が明治4年に、長男一太郎(満8歳)、次男捨次 郎(6歳)のために、加賀半紙を四つ折りにした帳面を一冊ずつ与え、毎朝、 食後に書斎に持ってくれば、何か書いてやると言い、実行して出来たものです。 

 「もゝたろふが、おにがしまにゆきしは、たからをとりにゆくといへり。け しからぬことならずや。たからは、おにのだいじにして、しまいおきしものに て、たからのぬしはおになり。ぬしあるたからを、わけもなく、とりにゆくと は、もゝたろふは、ぬすびとゝもいふべき、わるものなり。もしまたそのおに が、いつたいわろきものにて、よのなかのさまたげをなせしことあらば、もゝ たろふのゆうきにて、これをこらしむるは、はなはだよきことなれども、たか らをとりてうちにかへり、おぢいさんとおばゝさんにあげたとは、たゞよくの ためのしごとにて、ひれつせんばんなり。」

 福沢のこの文章に、私は高校生の時に出合いました。 へぇー福沢って面白 いんだと、実感した、大好きな一節です。

 (ASAHIネットの serori・network/セロリトーク21 [serori/talk]に、 れい(曽根匡史)さんが桃太郎について書かれたものに、コメントしたもので す。 前に池澤夏樹さんの「静かな大地」という朝日新聞の連載小説に出てき たのを、原田達夫さんに教えて頂いた時、書いたものに加筆しました。)