清家篤さんの「生涯現役社会をめざして」その1[昔、書いた福沢183]2019/12/27 06:57

   清家篤さんの「生涯現役社会をめざして」<小人閑居日記 2003.7.8.>

 NHK人間講座、清家篤さんの「生涯現役社会をめざして」を視聴している。  発端は、先月15日、極楽寺成就院の「紫陽花ゼミ」で、小尾先生の奥様が聴 かせてくれたカセットテープだった。 清家篤さんは、建築家清家清さんの息 子で、労働経済学専攻の慶應義塾大学教授。 テープは、その清家篤さんがラ ジオで、小尾先生について話しているものだった。 小尾先生に、学問という のは、具体的に喜ばれるような研究でなく、誰も喜ばないようなことを研究を するもので(ゼミ門下一同、アハハと笑った)、大局的な見方や基礎的な研究こ そ大切だと、言われたというのだった。 『文明論之概略』のいう「遠い原因」、 風よりも、その奥にある気圧を、問題にするというように…。

 最初のうちの経済学は、野球の素振りのようなもので、面白くなかったが、 その後、実際的なことをやるようになって、面白くなってきたという話もして いた。

 というわけで、人間講座を、その直後17日の3回目から見始めた。 する と、三田のキャンパスの、見覚えのある大木の下に机を置いて、講義していた りして、どこか懐かしい。 内容も、身につまされるというか、ちょうど年代 の合うテーマで、なかなか面白い、日本の最重要課題でもある。 テキストを 買って来た。

       年金制度は『賦課方式』<小人閑居日記 2003.7.9.>

 七夕に願い事を一つだけといわれて、何を書くか。 「年金が破綻しません ように」とでも書くか。 「独立自尊」の先生にはちょいと顔向けできないけ れど、年金は小人閑居の大きなよりどころである。

 その年金について、清家篤さんの「生涯現役社会をめざして」で、恥ずかし ながら初めて知ったことがある。 「現在の日本の年金制度は、そのときどき の若年現役世代の保険料で、高齢引退世代の年金給付を賄う、『賦課方式』と呼 ばれる財政方式をとっている。」 『賦課方式』に対するのが、『積立方式』で、 ずっと厚生年金保険料を会社と折半で負担してきた私は、その『積立』と元利 運用益から、てっきり年金が支払われているものだと思っていたのである。 な らば、気が楽なのに、若年現役世代の保険料に頼っているのだと知れば、安閑 としてはいられないではないか(と、恰好をつけたくなる)。 『賦課方式』で は、少子高齢化によって、年金制度の破綻は避けられないことになるではない か。

 清家篤さんによれば、日本の公的年金制度は、もともと『積立方式』を原則 として発足した。 サラリーマンを対象とする厚生年金は、1954年の改定 でその財政方式を『賦課方式』へと転換した(一部、積立を残したから「修正 積立方式」と呼んだ)。 その後、「年金を2倍に」という田中角栄内閣の19 73(昭和48)年の改定で、物価スライド制が導入されるなどした結果、給 付水準は大幅に上昇し、厚生年金制度は『賦課方式』の性格を決定的に強めた のだった。