居合から福沢諭吉を切る[昔、書いた福沢211]2020/02/11 07:03

        居合から福沢諭吉を切る<小人閑居日記 2004.4.9.>

 3月27日、日本橋室町の三井本館7階食堂で福沢諭吉協会の土曜セミナー があった。 ここは、いずれ三井美術館になるのだそうだ。 講師は幼稚舎教 諭の岩崎弘さん、「福澤先生と居合」。 福沢研究にも、いろいろな切り口があ るもので、剣道をやっている岩崎さんは、長年ここから調べて来た。

 福沢の居合は、本格的なものなのだそうだ。 少年時代に中津で中村正(庄) 兵衛に立身(たつみ)新流という居合術を学んだ。 おそらく町道場でなく、 藩の道場だろうという。 立身流の居合術は室町時代末期に伊予の人、立身三 京によって創始され、佐倉堀田藩と中津奥平藩(立身新流)に伝えられた。 中 津藩では途絶えたが、佐倉では現在も二十一代宗家、加藤高という方がいると いう。 この立身流の居合をビデオで見た。 立って刀を抜く立会、座って抜 く居組、ともに襲ってくる敵の機先を制し、一刀必殺の鋭さを感じさせるもの だった。 

 鍛練によって「抜かずして、敵に勝つ」境地に達するという居合術は、福沢 の「捨て身」や「気力体力」の源となった、というのが結論だったようだ。