『暮しの手帖』の新編集長 ― 2020/03/29 08:03
その『暮しの手帖』5号(spring 2020/4-5月号)だが、表紙のトップに「心 の垣根をなくしたら」とある。 4号(early spring 2020/2-3月号)の、そ れは「丁寧な暮らしではなくても」と、なっている。 それぞれ、「特集」のな かの「読み物」の一つのタイトルである。
5号の編集後記「編集者の手帖」で、北川史織編集長が前号の「丁寧な暮ら しではなくても」に、思いがけなく多くの反響があった、と書いている。 そ の中に「今後、『暮しの手帖』では〈社会問題〉を扱っていきたいと思っている のでしょうか? もしかして、ジャーナリズム的な方向に行こうとしているの では、と不安になりました。(中略)かっこ付きの〈政治〉ではなく、ふつうの 人のふつうの暮らしへの想像力をかきたてる雑誌であってほしいと思います」 というのがあって、編集長が返答している。 〈社会問題〉については、すご く小さな声で、「ごめんなさい、社会のことは扱っているつもりなのですが、と てもそうは見えないわけですね」と。 「「かっこ付きの〈政治〉」というのは、 新聞で読めるような政治記事ということでしょうか。確かに私たちは新聞では ないのだから、たとえ「政治」を取り上げるにしても、楽しませたり面白がら せたり、あるいは心にしみ入るような記事にするとか、自分たちらしい工夫が 必要だと思うのです。いま、それができていないことを、私たちは恥じるべき なのでしょう。どうか、少しお時間をください。」と。 そして、「社会全体が よくならなければ、浮かばれない暮らしがあるんだ。そう思うのなら、私たち はやはり、「この社会を変えていこうよ」と声を上げなきゃあいけないと思うの です。自分自身の言葉で、腹の底から出す地声で。」と、書いている。
あらためて、4号の「編集者の手帖」を読み直して、4号から北川史織さん が編集長になったことを知った。 4号から、何となく誌面が変わったように 思ったのは、それだったのだ。 いわゆる超就職氷河期に社会に出た43歳、 二年半ばかり副編集長を務め、結婚歴はなし、子どもはおらず、一人暮らしだ そうだ。 「どんな人にでも暮らしはある。」「一人ひとりが全然違う、別個の 存在です。その全然違う一人ひとりが『暮しの手帖』を読み、この不安の時代 に何らかの知恵やヒントを得たり、ある思いを胸に抱いてくれる。そんなふう に、一冊の雑誌を通してつながりあうって、やっぱり素敵なことだと思うんで す。」と、抱負を述べていた。 期待を持って、お手並みを拝見することにした い。
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