慶應義塾大学大学院SDM研究科 ― 2020/04/08 07:11
高校時代に新聞を一緒に作って以来の友人、森川功さんが吉田篤生著『慶應 義塾大学大学院 SDM伝説の講義』(日経BP)という本を贈ってくれた。 吉 田篤生さんは、森川さんが志木高の剣道部を指導していた頃の後輩で、1970 年商学部卒、税理士となり会計事務所を設立、経営者に寄り添いパートナーと して様々な問題解決に取り込んできたが、2011年慶應義塾大学大学院システム デザイン・マネジメント(SDM)研究科特別招聘教授に就任、7年間「経営・ 財務戦略論」の講座を担当したという。
私は毎月、国立小劇場の落語研究会に出かけると、半蔵門駅で降りて、ホー ム中央のエレベーターで改札を出、その上のエレベーターで麹町方面に出て、 鶴屋八幡に寄って菓子を買う(鶴屋八幡の上には、カルロス・ゴーンを担当し た弘中恂一郎弁護士の事務所がある)。 その途中のビルに、慶應義塾大学大学 院SDM研究所という看板があって、どんな学問をやっているのかと思ってい た。 慶應義塾創立150周年記念事業の一環として創立されたSDM研究科は、 現代社会に横たわる多種多様な問題を解決するためには、システムを分析し解 決策を創造的にデサインしマネジメントすることが必要だという考え方から、 従来の縦割りを脱し、学問分野を横断した全体統合型の学問体系を研究するの だという。 一口に「木を見て森を見る、森を見て木を見る」学問だそうだ。 吉田さんはSDMを「様々な問題を解決するために、今ある現実の中から考え 得る最善の方法を導き出す、戦略の実践である」と定義する。
この本の副題は「企業経営と生命のシステムに学ぶデザインとマネジメント」、 吉田さんは企業が政治、経済体制を含めた世界の、地球の、大きな自然界の流 れの中で存在しているので、経済学にも、企業の経営にも生態学的視点を取り 入れることが重要だと考える。 自然界の中にある“ゆらぎ”には、「部分」と 「全体」が自己相似的になっている「フラクタル」な構造があり、一定の秩序 をもって調和していく普遍の真理がある。 この普遍の真理の中で、世界は動 いていると理解すると、今、起きていることも本質的につかむことができると する。 そして、自然界の普遍の真理は、東洋的なものでいうと「曼荼羅(マ ンダラ)」になぞらえることができると、考える。
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